漫画家の夢もあきらめてなくて
―― 現在は同人活動も続けながら、商業方面でも活躍されていますが、元々こういう世界を目指していたんですか?
ゆのみ 少女漫画を描きたくて絵を描きはじめたんです。だからこうしてカラーでイラストを描いているのが意外ですね。
―― 漫画は今まで描いていたんですか?
ゆのみ 「描きたかった」と言いつつも、作品として完成させたのはまだ一度しかなくて……。
―― その一回って言うのは、出版社に持ち込みをしたとか?
ゆのみ はい。少女漫画の編集部に送ったんです。投稿ページがあって、そこで一番にならないとデビューできないんですけど、そのときは二番で。「デビューしたかったらもう一回持ってきて」って言われたんですけど、描く時間がなくて今に至ってます。
―― そのとき持ち込んでいれば少女漫画デビューだったかもしれませんね。
ゆのみ 実はまだあきらめてません。時間を見つけて描きたいと思ってます。
―― 漫画を描いたのはいつごろのお話ですか。
ゆのみ 去年です。
―― 「コンビニ」の後ですね。じゃあ漫画にも「ゆのみ」ってペンネームで?
ゆのみ いや、まったく違うんです。それに、(ニコニコ動画のことを)私も言わないですし、編集者の方も知らないです。漫画を描くことになったら違う名前でって思ってたんですけど……使った方がいいですか?
―― そりゃもう! 使った方がいいじゃないですか!
ゆのみ すいません、全然その発想はなかったです(笑)。
―― とすると、ニコニコ動画に投稿をはじめたのは「ニコ動を利用して有名になろう」とか「プロを目指していたんで」とかじゃない?
ゆのみ ああ、全然違いますね。最初はボーカロイドとはまったく関係ないイラストで動画を上げてたんですけど、それと同時に絵を描きはじめたので。
―― ええー!?
ゆのみ あ、もちろん、ノートのすみに絵を描くとかはありましたけど。でも、構図を決めて1枚絵をバシッと描くとか、色を付けるとか……そういうことはしたことがなかったです。でもやっぱり、だれかに絵を見て、意見をもらいたかったんですね。ニコニコ動画なら匿名で載せられるし、意見もコメント欄にもらえると思って、これはと思って、やってみました。
―― たとえばSNSの「pixiv」※って選択肢はなかったんですか?
ゆのみ そのときは、pixivとか全然知らなかったです。それまで自分でちょこちょこ描いてたんですけど、まわりに絵を描く人が誰もいなくて……絵を描いていることも恥ずかしくて、言い出せなくて。
※ pixiv : イラストを投稿し、そこに感想や応援メッセージなどをつけられるサイト。アニメ系のキャラクターを描くイラストレーターたちの御用達サイトとなっている
―― なるほど。だからこそ人に見てもらいたかったんですね。初めてコメントが付いたときはどんな気持ちでした?
ゆのみ 一度ランキングの上の方に行ったとき、もうすっごい(コメントが)荒れて、心が折れそうになったんですけど。それでも最初のころ、ほめてもらえるコメントが一杯もらえて嬉しかったのはおぼえてます。
―― でも、初めてネットに出してあの反響って、びっくりですね。
ゆのみ びっくりでしたねー。
―― しかも荒れるし……やっぱり傷つきましたか?
ゆのみ 傷つくというより、びっくりしちゃって。インターネットってやっぱり恐いと思ったんです。でもそれ以上に「気にしていいよ」というようなコメントをたくさんいただけて。おかげで、そこまで傷つくことはなかったですね。