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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第60回

ブログ指標の業界標準を――TopHatenar開発者が目指すもの

2009年11月09日 12時00分更新

文● 古田雄介

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真円ではなく、卵形だから「島」が成り立つ

―― それぞれのサービスについて、読者からはどんな反応がありましたか。印象的なものを教えてください。

浜本 直接メッセージをいただくことは少ないですが、TopHatenarの検索結果などをRSSで見られるようにしているので、「こういう風に使われているんだ」というのは肌で感じています。それで言うと、EatSpotはほとんど反響がなかったですね。NativeCheckerもそこそこだったんですけど、やはりTopHatenarの反響の多さが印象的です。

 それ以降のHatenarMapsやBlogopolisもすごい反響があってうれしかったです。というのもやっぱり、皆自分のブログのことが気になるんですよね。「自分のデータはこれだ」「今の順位はこれだ」ということが分かって盛り上がってもらえる。そうやってブログを1つの基盤としてサービスを作ると、反響が大きくなるというのはあると思いましたね。

 あと特に驚いたのは、Blogopolisです。午前4時くらいにこそっと公開して、すぐにブログで「公開しました」記事を書き始めたんですけど、そのときすでに小飼弾さんが自分の土地にオリジナルの画像を貼っていたんです。公開して30分くらいしか経っていなかったのに、どうやって知ったんでしょう(笑)。

Blogopolisはログインすると、自分のブログエリアに好みの画像が貼り付けられる


―― すごい情報収集能力ですよね(笑)。それだけ反響があると「もっとこうしてほしい」みたいな要望は届きませんか?

浜本 「自分の好きなキーワードを見たい」や「Google Readerにも対応してくれ」のほかに、「炎上を可視化できるようにしてくれ」というのもありましたが、思ったほどはありませんね。なので、フィードバックはあまり考えずに自分でどんどん作っちゃっている感じです。

 アイデアはけっこうあるんですよ。要素を増やすなら、アクセス数の指標として、ビルの周りに人や車を配置して往来の疎密で差を出したり、島を夜にして電飾の度合いで表現したりと。サイボウズ・ラボの「Pathtraq」がアクセス数の指標を出しているので、それを参考にして組み込めますからね。

 ただ、最初のうちはあまり指標を増やさないようにしています。人間が一度にパッと見て理解できる情報の軸(量)には限界があるんですよね。増やしすぎると何が何だか分からなくなる。だから、アイデアをそぎ落とすほうが重要だったりするんですよ。まあ、将来軸を追加するにしても、炎上したときにミサイルを飛ばすとかはないと思いますけど(笑)。


―― 島の形についてですが、HatenarMapsの四国のような形から、Newsgraphy、Blogopolisと進むにつれて卵形になっていますね。これはどんな意図があるのでしょう。

浜本 アルゴリズム的な理由なんですが、輪郭に凹みがあると、直線で区切ったとき、島を2つに分けたいのに、場合によっては3つ以上に分かれたりしますよね。それは都合が悪いので、段々と円に近い形になっていったわけです。実はHatenarMapsはドラクエ3のランシールという島の地形を元に作ったんですよ。それが僕の調べた地形のなかで一番ゆがみがなかったからなんですけど、それでも色々と面倒がありました。

 ただ、真円にするのは駄目なんです。あくまで図形ではなく島に見せないといけない。真円だと現実感が全然でないですが、卵形ならぎりぎり島っぽく思えるので、アナロジーとして「島」「どこかの土地」という仮想空間が成り立ちます。そうすると、見に来た方も仮想の土地のなかで「ぼくは大地主だった」「私はスラムみたいなところに住んでいる」「僕は平屋みたいだった」と、現実の世界をイメージしながら遊べるわけです。

Blogopolisと入れ替わりで公開終了となったHatenarMaps。上部付近を横で切ると、上が2片に分かれるため3分割してしまう。そうした特殊な条件を発生させないために、卵形の島に進化させた


―― 今後はどんな方向に進化していく予定ですか? 目標や展望があれば教えてください。

浜本 TopHatenarとBlogopolisは、扱う情報をもっと広げて、個人のウェブ上での活動を本当の意味で俯瞰できるようなものにしていきたいです。Twitterのつぶやきやどこかの掲示板への書き込み、Wikipediaの編集記録などを含めたりして、そのブログのエントリーを書いた人が他にどんなことをしているのか、どれくらいの影響力があるのかといったことが視覚的に把握できるようになれば面白いですね。

 IDの抽出など難しい問題があってあくまで理想の範囲ですけど、Twitterに関してはけっこう実現できるかなと思っています。ブログのIDと結びつける関門はありますが。

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