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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 ― 第3回

Windows 7前の買い控え、ほとんどなかった!?

2009年11月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

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8社が営業黒字だが、結局はコストカットの成果

 2009年度上期(2009年4月~9月)の電機大手の決算が出揃った。

 電機大手9社のうち、第1四半期連結決算では8社が営業赤字であったのに対して、第2四半期連結決算には8社が営業黒字。一部には通期見通しを上方修正する企業もあり、上期連結決算は、回復の兆しを感じられる内容となった。

エコポイントの導入は薄型テレビの売上に大きく影響を与えた

 だが、成長局面に入ったのかというと、そう判断するのは早計だ。

 大手電機の幹部からも「構造改革による収益の改善」という言葉が相次いでいる。

  • 「年間経費削減目標の2000億円に対して、上期までに1191億円を達成し、60%の進捗率」(シャープ・濱野稔重副社長)
  • 「固定費削減効果は1492億円。進捗率は55%に達しており、通期に向けては200億円を上乗せし、2900億円の固定費削減を目指す」(NEC・矢野薫社長)
  • 「固定費の削減では、2600億円の年間目標に対して、2093億円を上期で達成するなど、損益分岐点を14%引き下げた。2008年度に比べて売上高が10%落ちても増益できる体質になった」(パナソニック・大坪文雄社長)


と、構造改革による効果が業績に影響していることを異口同音に示す。

 力強い成長感がまだ感じられないのが実態で、

  • 「下期の状況は不透明。景気が回復するのは、2010年度下期以降だと社内には言っている」(三洋電機・佐野精一郎社長)
  • 「年末商戦は決して楽観視はできない。価格下落も激しく、より慎重に見る必要がある」(ソニー・大根田伸行副社長)


という言葉からもそれは明らかだ。


エコポイント効果出た、薄型テレビ

 こうしたなか、国内市場においても製品分野ごとに、その勢いに差が出ている。なかでも、安定して高い成長率を維持しているのが、薄型テレビである。

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)によると、薄型テレビの出荷台数は前年同月比32.4%増の114万1000台。今年1~9月の出荷台数は、29.3%増の853万台だった。

 2011年7月の地上デジタル放送への完全以降まであと2年を切るとともに、エコポイント制度の追い風もあり、薄型テレビに対する需要が顕在化。政府がエコポイント制度の3月末打ち切りを発表すれば、一気に駆け込み需要も想定されるだろう。

 「エコポイント制度は、製品そのものの販売増加ということに加え、電機業界ではサポーティングインダストリーの裾野が広いため、雇用の維持、安定という観点からも効果がある。また、新製品への買い換えによって、CO2削減効果もある。関連部門に対して、継続してもらえるように粘り強くお願いしている」(パナソニック・大坪社長)


という声もあり、需要を長期的に維持するため、4月以降の制度継続を求める声は業界内には少なくない。

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