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週刊 PC&周辺機器レビュー 第27回

7対応タッチパネル一体型 スタイリッシュなVAIO L

2009年10月16日 20時54分更新

文● 池田圭一

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流行りの光学式タッチパネルを搭載

触っている時間や離すタイミング、2本の指を使ったマルチタップ、簡易ゼスチャーに対応する。光学式の特性のため軽く触れるだけで反応するのがいい

 本機の最大の特徴は、やはりタッチパネルの搭載ということ。液晶パネル前面に、Windows 7に採用されたタッチ機能に準拠する光学式のタッチセンサーが内蔵されている。これは、ベゼル上端左右に組み込まれたセンサーからの赤外線を液晶保護パネル内に導き、下部反射板からの赤外線反射の変化を三角測量の要領でとらえるもので、静電容量方式とは違って指先の状態で反応性が変化することもなく、最大2点までのマルチタッチに対応する。

 大画面に触れないようにしてきた筆者のような世代にはやや抵抗があるものの、複数のユーザーがメディアを楽しむ際など、コミュニケーションを広げるのに役立つだろう。タッチ操作をする場合、当然だがユーザーの姿勢や画面との距離(30~40cm程度か)は制約される。また、これはWindows 7の問題ではあるが、タッチ操作時のカーソルが、指に隠れてしまい見えにくい。

 高精細なフルHD表示では、ウインドウボタンも小さくなり、なおさら操作しにくいものだ(他社製品では、ボタン類を拡大したカスタムテーマを使うものもある)。VPCL119FJ/Sではタッチパネル装備により、画面のARコート(低反射処理)も省略されている。新生VAIO Lの最大のポイントともいえるタッチパネルだが、モバイル機器ならともかく24型ワイド液晶機に必要か、は少々疑問だ。

 VPCL119FJ/Sを、Windows 7搭載パソコンと見たときのスペックは、十分に充実している。CPUにIntel Core 2 Duo E7500(2.93GHz)を採用し、メモリー4GBを標準で搭載。グラフィックス機能にはGeForce G210M(ビデオメモリー512MB)を備える。

 テレパソとしては、地上/BS/110度CSデジタル放送チューナーを2基内蔵し、容量1TBのHDD(出荷時空き容量は約875GB)や記録型BDドライブ(パイオニア BDR-TD02)への録画が可能だ。同社のテレビにも搭載されている高画質エンジン「Motion Reality HD」の搭載や、「VAIO AVCトランスコーダー」によるハードウェアエンコードによる高速圧縮処理、再生コンテンツにあわせた表示の自動調整機能もある。

Windowsエクスペリエンスインデックスは「4.9」

Windowsエクスペリエンスインデックスは「4.9」。プロセッサー、メモリー、ゲーム用グラフィックス、HDDともに高い性能を示している

VAIO Media plus

DLNAサーバー機能を持ち、各種コンテンツの配信が可能な「VAIO Media plus」

Media Centerからはテレビチューナーを認識できなかった

Media Centerからはテレビチューナーを認識できなかった

 試用機にB-CASカードがなかったため、テレビチューナーや録画再生ソフト「Giga Pocket Digital」の使い勝手を確かめることはできなかったのが残念だが、BDソフトの再生でGeForce G210Mの効果を確認してみた。なお、Windows 7の「Media Centerテレビ」はデジタルテレビ録画再生機能も有するが、本機内蔵のテレビチューナーはMedia Centerからは認識できなかった(関連記事)。


BDコンテンツを楽しむ

 BDコンテンツの再生は、付属の「WinDVD BD for VAIO」で行なう。コンテンツ再生時のCPU負荷はおよそ40%。これはGeForce G210Mのハードウェアデコード/カラーアクセラレーションを利用する標準状態である。この状態でも、Windows側の処理が介入すると一瞬ではあるが音声が途切れることがあった。

 しかし、これらハードウェア処理を使わずに本体機能でBDコンテンツを再生すると、CPU負荷は90%近くに跳ね上がり、空冷ファンの騒音も大きくなる。ハード/ソフトデコードでの画質の差はそれほど感じないが、GeForce G210Mでのハードウェアデコード処理は必須といえよう。ちなみに表示停止状態では、どちらも10%前後のCPU負荷である。

WinDVDでBDソフトを再生した。ハードウェアデコード/カラーアクセラレーター無効時のCPU負荷は80~90%。GeForce G210Mのハードウェア処理を使うと、CPU負荷は40%前後になる

 色モード調整も適切に機能し、彩度の高い映像を満喫することができた。欲を言えば、外光の明るさで表示明度を自動調整する機能も欲しいところだ。本体上部のウェブカメラを活用して、ユーザーの視聴位置なども認識してくれるところまでいくと、同社が目指すインテリジェンスなテレビプレイヤーとなるのではないだろうか。

 全体を通しての印象では、若干中途半端な感じがしたのも事実だ。Windows 7パソコンとしての使い勝手と、本格AV機器としての使い勝手の両者を徹底するのは、難しいのだろう。おそらくはWindows 7に起因すると思われる、レスポンスの悪さも気になった。このあたりはさらなるチューニングが必要とされるだろう。製品版で改善されていることに期待したい。

 何はともあれ、Windows 7搭載のオールインワン機であり、リビングパソコンとして今後の主軸となる製品には違いない(VAIO Lシリーズの“L”はリビングのLである)。24型ワイド液晶ディスプレーのフルHD対応デジタルテレビに、ダブルチューナー&BD搭載のHDDレコーダー、そしてWindows 7搭載の高性能パソコン。これらすべてが24万円前後で手に入ると思えば、コストパフォーマンスは非常に高い。1台に集約したことで省スペース性・省エネ性も実現している。パーソナルなIT・AV機器として個室に導入するのもオススメだ。

VAIO L VPCL119FJ/Sの主な仕様
CPU Core 2 Duo E7500(2.93GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス GeForce G210M
ディスプレー タッチパネル内蔵24型ワイド 1920×1080ドット
ストレージ HDD 1TB
光学ドライブ 記録型BDドライブ
テレビ機能 地上/BS/110度CSデジタル放送チューナー×2
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
カードスロット SD/SDHCメモリーカードスロット、メモリースティックスロット(PRO、デュオ対応)
インターフェース USB 2.0×5、IEEE 1394、10/100/1000BASE-T LAN、HDMI入力、ビデオ入力、光デジタルオーディオ出力など
サイズ 幅582.4×奥行き190.0×高さ429.0mm(最小傾斜時)
質量 約12.5kg
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
価格 24万円前後

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