より一体感が増したフルHD液晶一体型
新VAIO L
液晶モニターの背面に、パソコンの機能をコンパクトに集約した「ボードタイプPC」。そしてこの分野を切りひらいたのが、初代の「VAIO type L」だ。当初から、使わないときにはインテリアにもなるという凝ったデザインを採用し、デスクトップパソコンの世界に新風を吹き込んだ。
そのtype Lシリーズは、この秋からWindows 7を搭載し、モデル名から“type”が取れて「VAIO L」となった。VAIOオーナーメードモデルで2製品、店頭販売モデルで2製品をラインアップするが、いずれもフルHD対応の1920×1080ドット表示が可能な24型ワイド液晶ディスプレーを搭載し、デザインも一新されて狭縁タイプを採用し、よりディスプレーを強調したものとなった。見た目は「最新のワイド液晶デジタルテレビ」といった風情で、それにBD搭載のデジタル放送レコーダーとWindows 7パソコンが合体したものである。
今回は、液晶パネル表面にタッチパネル機能を備えた、店頭販売上位機の「VPCL119FJ/S」を試用した。なお、下位の「VPCL118FJ/S、/T」との主な違いは、タッチパネル機能の有無や、HDMI&ビデオ入力の有無となる。ゲーム機やレコーダーなど外部機器の映像も楽しみたいなら、上位機を選択することになるだろう。
見た目は液晶テレビそのもの!
梱包を解いたとき、そのデザインセンスに圧倒された。「やや奥行きのあるハイセンスな液晶テレビ」といった感で、狭額縁が画面の存在感を際立たせている。本体は“コの字”型をしたスタンドで支えられ、背面の支えでバランスを取るスタイルだ。中央に本体を支える足がないため、スタンド部分に付属のワイヤレスキーボードが収納できる。
画面が宙に浮いている見える半面、スイーベル(首振り)や高さ調整ができないのは難点だが、背面支えの角度を変えることで、6~30度のチルトは可能だ。このデザインは一般のテレビでも採用して欲しいと思う。なお、有償での専用工事(3万5700円から)が必要となるが、本体の壁掛け設置も可能である。
電源スイッチは本体上部の右にあり、その横には画面表示のみをオフにするスイッチがある。OS側の操作をすることなく画面だけを消せる。このあたりも、リビングPCを意識してのことだろう。本体右側面には記録型BDドライブ(のトレイ)と液晶ディスプレーの調節ボタンが、左側面には各種メモリーカードスロット、USBコネクター、ヘッドホン&マイク端子など、一時的に利用するインターフェースがある。
常時接続したままになる電源やテレビアンテナ、HDMI外部入力、LAN端子などは背面下部に集約されているが、それらのケーブルの取り回しに一工夫欲しいところだ。やはり壁を背にして配置することになるだろう。
秀逸なのはスピーカーの配置と設計だ。本体下部の両脇に5.5Wのステレオスピーカーがあり、これが下向きに開口しているのだが、スタンド部分にうまく反響して前面から鳴っているように感じるのだ。スピーカースリットにホコリがたまることもなく、インテリア性を損ねないのがいい。
BDソフトを視聴してみたが、ソニー独自のサウンドチップ「Sound Reality」やデジタルアンプの「S-Master」、DSPを介した出力回路など、徹底したチューニングが施されている。本体の後ろ側から包み込むように広がる音場が感じられる。
ただし、本体の稼動音にはやや問題が残る。試用したのが試作機なので、そのあたりが未調整だったのかもしれないが、本体空冷ファンの騒音が目立つのだ。電源投入時、あるいはWindows再開時にはファンが全力回転するのだが、かなり大きな騒音となり興ざめだ。HDDのシーク音などは低減されているものの、CPU負荷が高めの処理を行ないながらのテレビ視聴時の空冷ファン風切り音や、あるいはBDソフト視聴時のディスク回転音は結構耳に付く。
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