小鳥は継続し、Gizmodo Japanは海を渡る
―― しかしそうなると、サンプルブログだった「小鳥ピヨピヨ」は、現在かなり違ったコンセプトになっているわけですね。
いちる そうですね。ココログがスタートしてからは、まったく別の意識で書いていますね。読者に向けたコンセプトもそうですが、自分にとっても大きく変わりました。
ココログがブレイクしたころ、異様に忙しかったんですよ。自分の時間が全然持てなくて、飯食う時間もないみたいな。でも、ブログで書いているときだけは素の時間に戻れたんです。
ブログを書いているときは数字とにらめっこしながらあちこちに命令して回るとかしなくていいわけです。のんびりした自分になれる。それがすごく大事で、これが表現していることの大切な点だなと。自分が自分でいられるという。
―― では、小鳥ピヨピヨの今後の目標を教えてください。
いちる 目標は続けることですね。目標というか、40歳になっても50歳になっても、たぶん続けていると思います。これからPVが落ちていっても続けていくと思います。
―― Gizmodo Japanはどうでしょうか?
いちる 今はどちらかというとガジェット寄りの海外おもしろ情報サイトという印象だと思いますが、今後は日本の記事をもっと増やしていきたいですね。日本のメーカーの人たちにも「俺たちの情報を扱ってくれるサイトがあるんだ」と思われたい。そして、それを逆に英語で発信したいなと思っています。
実のところ、世界は日本の情報に飢えているんですよ。日本に住んでいると、結構オープンにしていると思いがちですが、すごい鎖国っぷりだったりします。アメリカのGizmodoの連中も、翻訳サービスを使って毎日毎日TOTOやサンコーレアモノショップのページをチェックしていたりするんですよ(笑)。
―― それは意外ですね(笑) 最後に、ブログサービスの今後に期待するところがあれば教えてください。
いちる ツールとしてのブログはすでに成熟していると思います。ただ、周辺の環境が整えば、さらに発展する可能性があると思っています。
ブログを始めてしばらく続けていると、ちょっと寂しくなるじゃないですか。書いても誰も反応してくれない、コメントも書かれない。そうした寂しさを埋めるサービスが、現状ではほとんどないんですよ。はてなブックマークとTumblrくらいでしょうか。そうした寂しさを埋めてくれるサービスが充実したら、きっとブログを書く人が増えると思うんですね。
たとえば1日7PVしかないブログでも、7人の読者から何かしらの反応を受け取ることができればすごい満足感が得られると思います。そうして寂しさが埋まっていけば、より読者に楽しんでもらえるような記事が書きたくなる。すると読者としても、よりブログが楽しく読めるようになる。まだ具体的なアイデアは浮かびませんが、そうした魅力的なサービスが登場することに期待したいですね。
筆者紹介──古田雄介
元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。現在、ASCII.jpの姉妹サイト「wakuteka.jp」にて、当連載50回に向けた特集「もっと顔の見えるインターネット」を更新中です。「古田雄介のブログ」では、皆さんのお勧めサイトを募集中です。
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