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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第59回

「ダブル」から考えるワンセグライフの広がり

2009年02月07日 18時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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欲張りなワンセグ視聴の未来

 932SHを使ってみて感じたことがある。はっきり言ってワンセグでここまでできるとは思っていなかった。

 ちょうどデジタルハイビジョン放送が普及して行く中で登場したワンセグは、小さくて、放送の画素数も小さく、あくまで補助的なモノとされてきたはずだった。ところが、出荷される半分以上のケータイに内蔵される一般的な機能となり、そして大容量で安価なメモリカードも助けて、視聴、録画といった利用が、場所を問わず実現できるようになっている。

 ダブルチューナーのワンセグケータイも、今までのワンセグケータイの使い勝手を高めるところから、非常に欲張りで、わがままな視聴への要求にも応える仕様を打ち出してきた。だとしたら、そろそろ番組表やソーシャル活用と言った、ワンセグ視聴にまつわる外堀とも言える部分に着手すべき時期が来ているのではないか。

 932SHは、横長画面でも使える「Gガイドモバイル」がアプリで提供されている。ワンセグ機能から直接呼び出せるし、アプリから端末の予約録画機能をセットすることも可能だ。しかし、薄型テレビやHDDレコーダーでやっているように、番組を見ながら番組表を見ることはできない。

 また東芝のHDDレコーダーに搭載されているような、番組予約ランキングや人気のシーンをウェブを通じて共有するサービスなども、せっかく通信機能が搭載されているワンセグケータイでありながら、未だ活用するに至っていない。

 録画した番組自体をケータイで送り合うのは著作権的にも通信サービスとしても賢いやり方ではない。しかし、番組をの感想などを言いあうユーザー間のコミュニケーションが活発化すれば、よりワンセグ視聴を促進するのではないか、と思うのだ。

 現に、932SH以前の端末から、ワンセグ視聴をしながらメール交換する機能は実現しているし、辞書ボタンを押せば国語辞書、英和・和英辞書、Wikipediaを検索できるようになった(なぜか、Wikipediaなどのネット辞書を使うときは、全画面表示になってしまって、番組を見ながらの検索ができないのだが……)。

番組視聴中は、2画面表示をしていても、端末の辞書ボタンですぐに辞書を呼び出すことができる

 コミュニケーションの「話題になる」マスメディアのカタチを、ワンセグケータイから作っていくチャレンジを、そろそろ真剣に考えてもいいように思える。それほど、現在のワンセグケータイは、成熟が進んでいる。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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