【Call of Duty 4】高画質設定で極上のプレイ環境に
トリを飾るのは「Call of Duty 4」。製品版に最新パッチを適用し、画質関係は全て最も重くなるように設定している。標準画質ではアンチエイリアスをオフ、高画質設定では「アンチエイリアスX4」および「異方性フィルタリング最高」に設定した。
標準設定だけを見れば意外や意外、HD 3870 X2が僅差でトップに躍り出た。しかし高画質設定になると最適化具合や地力の差か、9800 GX2が見事に1位に返り咲き。それを反映するように性能比も高画質設定では最高2倍近い値が出ている。フルHDでプレイすればアンチエイリアスなんて要らないよ! といい続けてきた筆者だが、最近は眼が慣れてしまったせいかフルHDでもジャギーが気になるようになってきた。9800 GX2は極上のプレイ環境を構築したいゲーマーには最適の製品になっているようだ。
消費電力よりも熱が問題
デュアルGPU搭載だけに、9800 GX2の消費電力や熱はそれなりに大きいことは想像に難くない。ここでは「ワットチェッカー」を利用してシステム全体の消費電力を、「NVMonitor」と「ATITools」を使ってGPU温度(サーマルダイオード読み)を比較してみた。消費電力のピークは「3DMark06」のTEST2実行時、温度のピークは「Crysis」ベンチ1周完了直後の値を読んでいる。
9800 GX2の方がピーク時の電力は低めだが、アイドル時はHD 3870 X2に大きく差をつけられている。GeForce系の大飯食らい傾向は今に始まったことではないが、まだまだ省電力機能に関してはAMDの方が1枚上手のように感じる。ピーク300W超えは確かに凄いが、3-Way SLIやSkulltrailのとんでもなさを知った今となっては、それほど目くじらを立てるほど高くない。
だが問題は温度の方だ。GPU温度は確かに高いが、それよりも動作時のカードの熱の方が問題だ。今回の予備実験はバラック組みの状態でテストしたが、9800 GX2をこの状態で運用するとベンチが完走しない。慌ててケース(今回はAntec「NINE HUNDRED」)に収め、ファンをキッチリ回してようやくテストにこぎ着けた。今回はNVIDIAからお貸りしたサンプル版だっただけに、かなりヘタっていた可能性もある。しかし動作中はボード全体が50度以上(放射温度計による計測)になるため、バラックはもとよりファンレスに近い環境での運用は危険と考えるべきだろう。
性能は極上。ただしじゃじゃ馬萌え属性アリの人に!
性能面だけを見れば、9800 GXは久々にスカッとする結果を出せる、文句のないハイエンドGPUであるといえる。フルHDでアンチエイリアスをかけた高画質プレイが望みなら、9800 GX2は期待通りの働きをしてくれるはずだ。しかし、それ以上に面白いのは、これを使っていいのは電源ユニットの選択や、ケース内に放出される温風の処理等をキッチリとできるハードコアなユーザのみ、という潔さだ。悪く言えば一般ユーザ置き去りともいえるかもしれない。最近はCPUにせよグラフィックボードにせよ、マイルドになりすぎて“誰が組んでも同じ”ようなPCができやすい。しかし、9800 GX2の場合はその性能をキッチリ活かすにはケースや電源ユニット、ファン配置も考える必要がある。そういう意味では、じゃじゃ馬を飼いならすプロセスも楽しめる製品になったといえるだろう。
とはいえ、アキバでの実売価格は初物プレミアがついた状態で7万円台終盤~8万円とかなり高価。HD 3870 X2が6万円程度で購入できるだけに、かなり割高な印象がある(ケースや電源ユニットも買い替えるとなると割高感はさらに加速する)。さらに、NVIDIAは近々に9800 GX2のシングルGPU版(つまり8800 GTS 512の高クロック版)である「9800 GTX」をリリースするという噂もある。加えて設計を新たにした新型GPUも今年中ごろのリリースを目処に開発しているという噂も絶えない。9800 GX2の値が落ち着く頃には、当然こうした準ハイエンドや次世代ハイエンドも射程に入ってくるわけで、それを考えると今飛びつくのはどうか……と腰がひけてしまうのは確かだ。しかし「今そこにある最良のハイエンド」を選ぶなら、9800 GX2意外の選択肢はない。“じゃじゃ馬萌え属性”ありのハイエンドユーザなら突撃してはどうだろうか?
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