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日本最深部を23.3km踏破!

地獄の「青函トンネル探検ツアー」体験記

2008年03月19日 23時00分更新

文● 伊藤 真広

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 まだ寒さの残る3月、早朝6時30分の函館駅には、黄色いヘルメットをかぶった集団が集結していた。この集団は、昭和63年3月に開業し、今年20周年を迎えた青函トンネルの開業記念行事として開催された青函トンネルの工事抗ならびに先進導抗の23.3kmを歩き、さらに吉岡海底駅に程近い、吉岡斜抗の2100段(1.2km)を登るという地獄の「青函トンネル探検ツアー」に参加する猛者たちだ。

スーパー白鳥9号

竜飛海底駅到着寸前のスーパー白鳥9号の社内は、まるで炭鉱夫の乗るトロッコ列車の様相に

 探検ツアーは、春から秋まで見学できる竜飛海底駅から、青函トンネルの保守点検に使われている工事抗と、本坑の掘削に先立ち地質調査を目的に掘られ、現在は湧き水の排水や換気で使用されている先進導抗を通って、吉岡海底駅に程近い吉岡斜抗の2102段(1.2km)を登るという鉄道マニアにはたまらない内容のもの。

青函トンネル地図

青函トンネルは津軽海峡の中でも最も浅い部分を縫って掘られている。探検ツアーでは本坑近くを並走する作業坑と、本坑の下を通る先進導坑を歩く

 そのため、定員80人で募集を予定していたが、予想を超える反響に急遽40人枠を増やして120人の募集を行なったところ、瞬殺にはならなかったものの発売開始からわずか2日間で定員に達してしまった人気ツアーだ。このツアーに「アスキートンネル部隊」(仮称)は日ごろの運動不足を解消するという崇高な目的のもと同行取材を敢行した。そう、先日掲載した「世界最大級・最高速フェリー「ナッチャンRera」で北海道へ行こう!」の記事は、本記事の伏線だったのだ!

はるばる来たぜ~函館~♪

 6時30分に函館駅に集合したツアー参加者たちは、7時に函館駅を出るスーパー白鳥9号に乗車。竜飛海底駅を目指し、ツアーがスタート。竜飛海底駅に到着し、春から秋に行われる見学ツアー向けの展示物などの設置されているホールで、青函トンネルの概要や今回のルート、諸注意などを受けて徒歩による津軽海峡縦断は始まった。

竜飛海底駅

竜飛海底駅に到着。参加者たちはこのプレートの前で和やかに記念撮影をしていた。ちなみに集合は函館だが、ツアーのスタートは青森側の竜飛。ここから北海道側の吉岡まで歩くのだ

見学者向けの施設

竜飛海底駅には、見学者向けの施設が併設されており、工事の様子を撮影した写真パネルや前述の地図など、青函トンネルに関するさまざまな資料が展示されている

ス●ランカー?

編集部から支給された今回の行軍にふさわしい衣装。筆者はてっきり、映画「海峡」の高倉健のような渋い衣装と思っていたのだが、どうみてもゲーム史上最弱主人公……段差には気をつけよう

 竜飛海底駅からJR職員の案内で通常は閉鎖されている鉄門を抜けて、作業抗へと足を踏み入れ歩き始めた我々。トンネルのなかは湿度80~90%、気温18~20℃と聞いていたので、かなり蒸し暑く汗だくになるのでは、と予想していたのだが、そんな予想は杞憂で、快適な環境となっていた。湿度が感じられない理由は、風速1m/hで毎分3800立方メートルも送風されている空気のおかげのようだ。テクテクと歩き続けること30分ほどで第一チェックポイントの竜飛側の下り線、横取基地に到着。
 この横取基地は、保守点検作業の機材の集積や工事車両の基地として使われている場所で、今後は北海道新幹線の工事基地として使用される予定とのことだ。基地を見学しつつ、実際の営業路線の線路が敷設されている本坑を見学。横穴を通って再び工事抗へと戻り、行軍再開。わずか30分歩いただけなのだが、トンネル内の床は石灰成分が結晶化しているため滑りやすく、常に緊張して歩く必要があるため早くも疲労で足に痛みが……。

青函トンネル工事坑

鉄門をくぐり、いよいよ行軍がスタート! まさにドラクエのダンジョンに挑戦する気分だ

青函トンネル工事坑

工事坑の幅は3m程度となっており、普通乗用車サイズの車両であれば通行可能となっていた

いざ行軍スタート!工事坑へ!

(次ページへ続く)

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