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「ライブ配信メディア完全解剖 〜過去と今、そして未来へ〜」第6回

LINE LIVEはニコ生より本当に人気なのか

2016年09月16日 07時00分更新

文● ノダタケオ(Twitter:@noda

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 人気のテレビ番組「ダウンタウンDX(読売テレビ・日本テレビ系)」の放送1000回突破を記念した記者会見の模様が9月8日にニコニコ生放送(公式)LINE LIVE(公式ライブ)YouTube LiveFacebook Liveで生配信されました。

 その翌日、「LINE LIVEでの視聴者数が、ニコニコ生放送(以下、ニコ生)よりも来場者数が大きく上回り、生配信が行われた配信プラットフォーム毎の明暗が分かれた」ということがネット上で話題となりました。

視聴(再生)回数だけで比べてみると……

 その話題を受け、(一般の視聴者が知ることが可能な範囲での)数値を9月14日未明に改めてピックアップしてみました。

ニコニコ生放送:来場者数 3万2646/コメント数 1万9877
LINE LIVE:視聴数 51万3850/コメント数 8608
YouTube Live:視聴回数 4万2021
Facebook Live:再生回数 1万6153
※9月14日3:00時点の独自調査による

 単純に比較する限りでは、
1、視聴数は「ニコ生よりLINE LIVEが10倍以上多い」
2、コメント数は「LINE LIVEよりニコ生が2倍以上多い」 ことがわかります。

 ただし、この視聴者は、生配信を「リアルタイムに視聴をした人の数」と、生配信後に「アーカイブとして視聴された数」の合計の値である、ということに注意しなければなりません(上記の数値には8日の生配信終了後から、14日未明の調査時点までのアーカイブ視聴された数が含まれています)。

 その点を踏まえて比較しても、ニコ生に比べLINE LIVEのほうが視聴数は圧倒的だったように見えます。しかし、それだけで「生放送コンテンツの雲泥がこうして明るみに出た」と結論づけてしまうことに違和感を感じました。

ニコ生とLINE LIVEにおける生配信視聴の特性

 ニコ生は視聴者が投稿したコメントが画面上に流れるという、その当時にはなかった画期的な仕組みを取り入れることで配信(番組)のにぎわいを作り出していくのが得意です。

 2010年から2011年にかけて、Ustreamとともにライブ配信メディアの先頭を走っていたニコ生は、現在でもスマートフォンのアプリで視聴するより、パソコンで視聴する文化が根強く残っており、「スマートフォンによる動画視聴の促進」という面においては、LINE LIVEに比べニコ生が一歩後ろを走っているように感じられます。

 一方、LINE LIVEはスマートフォンでの視聴に重点がおかれていますが、逆に、パソコンでの視聴は(画面の向こうの演者に対して)コメントを送ることができません。

 そもそもメッセンジャーアプリとして既に生活インフラの一部となっているLINEアプリが得意とする「プッシュ通知」による潜在的な視聴者の呼び込みもLINE LIVEの力が優れています。

 さらに、スマートフォンでの視聴に特化したライブ配信メディアであることから、アプリ起動後のホーム画面で、上下にスワイプをすることによって(テレビのチャンネルをまわす・ボタンを順番に押していくように)ザッピングし、視聴者が見たい番組を選んでいくのができる特徴です。

視聴数で「人気か、そうでないか」を測るときに注意したいこと

 先に挙げたように、LINE LIVEアプリでは上下にスワイプをすることによって、いま生配信されている番組や既に配信が終了した番組の録画アーカイブを簡単に見ることが可能で、リスト上で番組を探してる最中も、それらは自動的にプレビュー再生されることになります。
※LINE LIVEアプリ上(「設定」→「データ節約」)で明示的に設定をすれば自動再生を停止させることは可能

 通常は、リストから「視聴したい配信チャンネル(もしくは録画アーカイブ)を選択」したのち、「視聴画面が表示されてライブ映像が再生」されることにより、視聴数が「1」カウントアップするのが基本です。

 しかし、LINE LIVEのように視聴したい配信チャンネル(もしくは録画アーカイブ)を選択する前のリスト表示の段階で、自動でプレビュー再生されるような仕様であった場合、この時の自動再生は視聴(再生)回数「1」としてカウントアップされるのか否かが気になるところです。

 意識的に「この配信(番組)を見たい!」と思って配信チャンネルへ訪れた人の数だけでなく、無意識に「プッシュ通知」がきてその配信へジャンプしチラ見をしただけの人やリスト上の番組を選んでいる最中に自動に再生された人の数も、すべて視聴数としてカウントアップされている可能性は(現時点では)高く、それによって、悪く言えば「水増し」的な視聴数の上積み加算となっているのではないか?と感じています。

 これは、実際、ライブ配信メディアの黎明期であった過去の時代においても、その形は違えど、使われていた(現在でもおそらく使われている)手法のひとつですし、そのような仕様に異議を唱えるつもりはありません。

 その上で、テレビの視聴率と同じようにライブ配信メディア上で表示される「視聴数」は人気のバロメーターを測る指針のひとつにはなりますが、「LINE LIVEが勝っている」「ニコニコ生放送が勝っている」といった結論づけを、簡単に比較することはできない、ということを認識をしておくべきなのだと思うのです。

 一方、「ライブ配信メディアを利用したことによる効果があったのか?なかったのか?」を(オトナの事情で)測らなければならない場合、「視聴数」だけで比較せざるを得ないというのも現状である、ということも合わせて理解しておく必要があります。

視聴数はどのぐらいだったか?は現場でもやっぱり聞かれる

 私自身、さまざまなイベントやネット番組のライブ配信のお手伝いをオシゴトでさせて頂く上で、他のライブ配信メディアの配信チームと同じ現場を共にすることが多々あります。

 もう少し具体的に書くと、FRESH! by AbemaTVやYouTube Liveの配信のお手伝いをする場合であれば、その時、ご一緒にさせて頂くのはニコニコ生放送の公式チャンネルを担当する配信チーム、というパターンが多いでしょうか。

2010年、あるオシゴトでニコ生公式チャンネルを担当する配信するチームと一緒になった風景(ちょっと機材に歴史を感じられます)。ライブ配信メディア黎明期はまだ少なかったのですが、近年は、他の配信チームと現場をともにするということがごく当たり前に

 生配信が終了したのち、ほとんどの場合「視聴数ってどのぐらいでしたか?」と(配信を私たちに依頼した)担当者の人から聞かれます。もちろん、どのぐらいの人が視聴してくれたのか?それは効果があったのか?をすぐさまにチェックして押さえておくということは、ごく当たり前のことですよね。

 その時は、純粋に(統計ページなどを参照した上で)数値をお伝えするわけですが、やはり、ここで双方の視聴数に大きな開きが出ることがあります。

 まったく同じ内容のコンテンツを配信しているのに、数値に大きな開きが出たとき、私たちがお手伝いした配信チャンネルのほうの視聴数が少なければ、なんだか申し訳ない感じがしてしまうのです(直接、番組構成を担当していないケースである場合、そこまで深く考える必要はないのかもしれませんが)。

 今回、こういったケースは「2010年から体験をしている」ことであることを改めて思い出しました。

 その当時(2010~2011年頃)勢いがあったライブ配信メディアは「Ustream」と「ニコニコ生放送」。同じ内容のコンテンツを複数のライブ配信メディアで生配信をする現場では、いつも「Ustream」vs「ニコニコ生放送」という延べ視聴数争い(比較)になっていました。

 時が流れ、それが「ニコニコ生放送」vs「YouTube Live」と変ったり、2016年に入ってからは「LINE LIVE」vs「ニコニコ生放送」、「LINE LIVE」vs「AbemaTV(FRESH! by AbemaTV)」という構図へいまは変わりつつある(既に変わった)のかもしれません。

 私たちのようなオシゴトでライブ配信メディアに関わる人間からすると、視聴者が投稿したコメントが画面上に流れる仕組みを取り入れることで配信(番組)のにぎわいを作り出してきた「ニコ生」、スマートフォンに特化した「LINE LIVE」、それ以外も、特徴がありステキなライブ配信メディアたちが存在します。

 でも、世間一般の人々から見れば「ライブ配信メディア(プラットフォーム)はどこも同じ」で、結果的には、視聴数が多いところへコンテンツも人も流れていく、ということが当たり前であるということを、いまでは昔以上に実感するところです。

比較すべきは「同時視聴者数の推移」

 本来、複数のライブ配信メディアで同時に生配信した場合「どちらがより効果があったのか?」を測る最良の指針は「同時視聴数(同時に見ている人の数)」がどのように推移していったか、です。

 生配信中に「同時視聴数」が表示されれば、同時刻に比較をして、それを指標のひとつとして比較することが可能となります(時には、同時視聴数が少ないという残酷な結果を知ることになりますが)。

 しかし、どのライブ配信メディアでも同じように、その数値が見ることができ、比較することができるのか?というと、「見ることができるサービス」「見ることができないサービス」があることから、同時視聴数で比較するということもなかなか難しいのが現状です。
※配信チャンネルの所有者・管理者であれば、管理画面上からより厳密な統計データを閲覧することが可能なサービスもあります。

人気だったかどうかを測るバロメーターのひとつに「コメント数」

 ところで、今回、比較の対象となったLINE LIVEとニコ生。どちらも、生配信終了以降も録画アーカイブを視聴した場合は、「視聴数」が増加し続けていきます。しかし、コメント投稿は不可能となり「コメント数」のカウントは動きません。

 この仕様を利用し、「視聴数」だけでなく「コメント数」も同時にあわせて比較することによって、録画アーカイブを視聴したことによる「視聴数」の増加分と上積み加算された視聴数、それぞれを除いた「生配信時のみの視聴数」を推測することができます。

 表示されるコメント数はもちろん「延べ」ですから、一人が何十件におよぶコメントを寄せる可能性は十分にあります。

 しかし、生配信中に(「www」といった些細なコメントであったとしても)視聴者が「わざわざ」コメントを寄せるということは、その「ライブ配信メディアにアカウントを所有してログイン」し、その「番組(配信)進行を見た」上で「コメントを寄せている」瞬間的なチラ見ではない質の高い「視聴者」のひとりである、と考えられるから、です。

 一律で「ちゃんと視聴をした人の割合」をはじき出せるものではありませんが、厳密な数値は取れなくても、ある程度の効果測定をすることが可能となるでしょう。

 生配信終了直後、視聴数とコメント数を比較し「視聴数>コメント数」かつ、「視聴数が数倍以上大きく離れている」という場合、なんらかの要因によって「上積み加算された視聴数」の値である可能性があります。

 ライブ配信メディアの運営サイド側で「番組(配信)をトップページや特設ページへ掲載」したり「ソーシャルメディアで告知」をされたことによる「優遇」が要因であるケースもあり、それが、どのケースに当てはまるのかは状況によって様々です。

 いずれにせよ、「なんの要因でそれが生まれたのかを把握しておく必要はある」でしょう。その要因を抑えておくだけでも、大きくカウント集計された視聴数だけに一喜一憂して、結果、その数に誤魔化されたり惑わされたりしてしまうことを減らすことはできると思うのです。

LINE LIVEはニコ生より勝(まさ)っているのか?

 冒頭に挙げたとおり「生配信を『リアルタイムに視聴をした人の数』に加え、生配信後に『アーカイブとして視聴された数』の合算値が表示されている視聴数である」ということを加味をした上で比較しても、確かに、「ニコ生に比べLINE LIVEのほうが視聴数は圧倒的」だったことが伺えます。

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