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業務を変えるkintoneユーザー事例 第15回

星崎冷熱機械(上海)が実践するkintoneによる営業モニタリング

営業活動の見える化で成果を上げるには「目的の周知」が重要

2017年09月11日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●金春利幸

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kintone hive shanghaiの2社目のセッションは業務用製氷機・冷蔵庫を手がけるホシザキグループの星崎冷熱機械(上海)。同社の経営企画部 課長 加藤健太氏は、経営リソースの効率的な集中を推進すべく2016年に導入したkintoneの活用について説明した。

営業マンの活動をモニタリングするためのkintone導入

 70年の歴史を持つホシザキグループは、業務用製氷機や冷蔵庫、ビールサーバーなどを手がけており、開発・生産、販売のみではなく、サポートまで幅広くカバーしている。「当社の製氷機でできた氷は硬くて、温度が低い。そのため、飲み物に溶けにくく、飲み物本来の味を味わっていただける」(加藤氏)という。

星崎冷熱機械(上海) 経営企画部 課長 加藤健太氏

 これらの製品は業務用で、代理店・厨房設計業者に販売し、そこから飲食チェーンやホテルなどに商品を卸すという間接販売体制をとっている。星崎冷熱機械(上海)ではこうした代理店・厨房設計業者などの営業における「予実管理」と「営業方針の実行」という2つの課題を可視化すべくkintoneを導入した。

 星崎冷熱機械の社内体制は経営層の下に営業部があり、部長、地域をまとめたブロック長、営業担当という構造になっている。予実管理に関しては、おもに経営層、部長、ブロック長で投入されたリソースに対して、どれだけの成果が出るかをチェックするために必要な可視化になる。「ブロック長と営業担当はかなり結びつきが強く、普通だったら1週間かかる相談が1時間で終わっていることもある。こういったスピード感のある業務を経営層が把握するのはかなり難しい」といった課題から、こうした予実管理が必要だったという。

 もう1つの営業方針の実行は、全社的な方針を適切に実施するため、コミュニケーションを促進するための可視化だ。今まで営業とブロック長、ブロック長と部長との会話が定量的かつ建設的に行なわれていなかったという課題があった。「経営層はビジネスを拡大するために人数を増やしたいと思っていますが、実際今の人数を増やせばビジネスが拡大するのか、今の人材を再配置した方がいいのか、あるいは減らした方がいいのかを判断する必要があった」(加藤氏)ということで、経営リソースの最適化のためにkintoneのシステムが必要になったという。

リソースの最適化に向けた会議体の調整

kintoneへ活動報告を登録し、PDCAを回す

 現在、同社と取引のある中国での代理店・厨房設計業者は2000にのぼる。この2000におよぶ代理店に優先度を付け、売り上げに結びつく代理店・厨房設計業者に対してきちんとフォローするというのが、kintone導入で掲げた方針になる。こうした代理店・厨房設計業者の優先度に関しては、その地域の販売動向などを営業担当にヒアリングし、強い代理店をピックアップしたという。

 営業担当のkintoneの使い方としては、商談1件に対して1レコードで、いつ、どの代理店に行って、どのような話をしたのかの活動報告を記入する。「内容はそれほど多くありません。選択肢を多く増やしているので、1件あたり、1~2分あれば入力できます。営業担当が面倒くさがらず入れていただける環境を意識しました」(加藤氏)とのことで、忙しい営業マンの負担にならないよう考慮されている。

 その上で、登録されたデータをブロック長と経営企画部が分析し、代理店の商談にどれだけ時間を割いているのかなどを把握できるようにした。実際、グラフを見れば、活動の様子は一目で把握できる。優先度の高い代理店や厨房設計業者に対して、営業活動を行なえているかをきちんとチェックし、ブロック長会議や月次経営会議でモニタリング・方針の決定などを行なうようにした。

ビジネス成果をもたらす代理店を確実にフォローする

 1年をかけてkintoneでのモニタリング、各会議でのPDCA活動、そして営業担当へのフォローなどを行なった結果、低優先度への活動率は15%から9%に減り、逆に低優先度以外の活動率が85%から91%に向上したという。「高い優先度のお客様に対して効率的に活動できるようになり、売り上げの向上につながった」と加藤氏は1年半の効果について語る。

kintoneのモニタリングや会議、営業担当のフォローなどで営業活動の向上

 最後、加藤氏は導入計画と運用のフォローについて言及した。まず設計・開発のフェーズにおいては、事前に各部門・レベルで必要な要件をしっかり定義。導入に関しては、まず地区を限定し、入力、分析、報告までをモニター導入した。最後の全国展開においては、とにかく目的に周知した。「入力を評価に結びつけたり、インセンティブを付けるなど、いろいろな方策はあるのですが、弊社に関しては特にブロック長に部下の行動を把握し、投資の判断をしていくという目的をかなりしつこく説いていきました」(加藤氏)。目的を徹底した結果、8~9割の営業担当が入力するようになり、きちんと成果に結びついているという。

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