特別企画@プログラミング+ 第5回
総務大臣賞は小5と2人の妹チーム!
小学生がロボット! 中学生がニューラルネット!? 「第一回全国小中学生プログラミング大会」発表
2016年10月25日 22時30分更新
小中学生にフォーカスしたはじめてのプログラミングコンテスト
10月22日(日)、東京飯田橋で「第一回小中学生プログラミング大会」(同実行委員会=株式会社角川アスキー総合研究所、株式会社UEI、NPO法人CANVAS、後援:総務省・朝日新聞社・秋葉原タウンマネジメント)の最終審査&表彰式が、東京秋葉原で開催された。
学生対象のコンテストとして、「U-22プログラミング・コンテスト」や「全国高等学校パソコンコンクール(パソコン甲子園)」、「アプリ甲子園」などが開催されて、定着もしているが、それぞれ、22歳以下、高校+高専3年生まで、中学から高校+高専3年生までとなっていた。それに対して、全国小中学生プログラミング大会は、文字どおり小中学生にフォーカスしている点が特徴。
プログラミング教育の義務化に向けて、このコンテストは、全国の小中学生に表現する場を提供することで、プログラミングを学ぶ強い動機づけになることを目的としている。この種の全国規模のコンテストとしては初の試みといえる。
子供にどのようにしてプログラミングを学ばせるかは、まだ試行錯誤の段階といえる。そこで、このコンテストでは、言語などのプラットフォームを問わず、PCやタブレット、Raspberry Piやレゴ マインドストームなど、動作環境も問わないという非常にオープンな形で募集が行われた。
コンテストには、8月20日~9月15日の募集期間中に129作品が寄せれら、一次、二次審査をへて10作品を「入賞作品」として発表。この日、グランプリとなる総務大臣賞、準グランプリの朝日新聞社賞、そして、小学校低学年・高学年、中学校の優秀賞、加えてUnity、およびNECパーソナルコンピュータのスポンサー賞が選定した。
最終審査&発表会は、大会実行委員長の稲見昌彦氏(東京大学 先端科学技術研究センター教授)、後援の総務省から御厩裕司氏(総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課長)の挨拶とともにスタート。
稲見氏は、ドラエもんが欲しいと思って育ったという自身の経験や今回の応募作の感想を語った。また、御厩氏は、今回のコンテストとあわせて、総務省が取り組んでいる「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業の事例も紹介した。
最終審査に残った入賞10作品
最終審査&表彰式の会場となったKADOKAWA富士見ビル神楽座のロビーでは、子供たち自身が小さなブースを構えてデモ展示も行われた。最終審査に残った10作品は以下のとおりだ。
『COLLECTER』湊真之さん(中学1年生)
Scratchで作成されたいわゆる落ち物ゲーム。壊れたロボットの代わりに仕事をするというストーリー。グラフィックや選曲などが凝っている。
『KX_NET』寺尾魁航さん(中学2年生)
横スクロール型アクションゲーム。マウスのみで数種類のアクションが可能になっていて、ステージには多くのギミックが用意されている。
『おでかけリモコン』三木健太郎さん(中学3年生)
Webブラウザーで、外出先から家電製品を操作できるようにした装置。操作画面のボタンを押すとArduinoに接続された赤外線LEDからリモコンの信号が送信されるような仕組みになっている。
『お金判別プログラム』清水大瑚さん(中学3年生)
お金の落ちた音を解析して、落ちたお金の種類を判別するというプログラム。数種類のお金の落ちた音をサンプリングしている。ニューラルネットを活用しているそうだ。
『ツイッターロボ』水野優希さん(小学6年生)
イベントや勉強会などでツイッターで写真をアップしてくれるロボット。黄色いボタンを押すと10秒後にカメラで撮影して、自動的にツイッターにアップしてくれる。
『ママロボ ハートちゃん』kohacraft.comさん(小学5年生)
頭に荷物をのせて、相手に届けてくれるロボット。コントローラーで前、右、左方向に進むよう操作することができる。
『暗算自動はんばいき』TEAM MOMORIRIさん(小学3年生)
フラッシュ暗算を解くとお菓子が出てくる自動販売機。ScratchXで作ったフラッシュ暗算のプログラムと、EV3で作った自動販売機ロボットを組み合わせたという。
『人工知能でアート?』蓼沼諒也さん(小学4年生)
単純な図形を組み合わせることで星形を描くプログラム。出来上がる模様が毎回ランダムに変わる。
『走れ! ゴミ箱ロボット』真家彩人さん(中学1年生)
プレーヤーがゴミ箱ロボットとなって、ゴミに向かって走るというゲーム。画像やサウンドは全て自作だという。飛んでいくゴミのモーションに苦労したのだとか。
『大きくなあ〜れ』パッション にもさん(小学3年生)
プログラミンで作成されたプログラム。昆虫のイラストがロボットのビームに当たると大きくなり、最後には大きくなったアキアカネに乗るというストーリー。
グランプリ、準グランプリに輝いたのは?
審査は、審査基準である“アイデア”・“プログラミング技術”・“完成度”から、以下の各賞が決定。最終審査&表彰式の後半で発表、各賞の授与が行われた。
見事、グランプリである総務大臣賞に輝いた『ママロボ ハートちゃん』のkohacraft.comさんは、小学校5年生の兄+デザインなどを担当した2人の妹さんのチーム。「うれしい。作っているときは、中のプログラムが何がなんだか分からなくなってしまうところが大変だった」と、独自のハードウェア製作とC言語による高度なソフトウェア制御を行うものだっただけに、その苦労を語ってくれた。
準グランプリとなる朝日新聞社賞は、『暗算自動はんばいき』のTEAM MOMORIRIこと、小川桃佳(小学3年生)さん、りりか(小学1年生)さんは、ScratchXとレゴ マインドストームを組み合わせた機械での受賞。「プログラミングが分からなくて苦労したけど、すごく嬉しいです」とコメントしてくれた。これも、子供らしいアイデアとちゃめっけにあふれた作品だ。
なお、グランプリを獲得したKohacraft.comさんには、盾と賞状、副賞として「MacBookPro 13インチ」 、準グランプリのTEAM MOMORIRIには、賞状とノートパソコン「HP Spectre x360」。そのほか、小学校低中学年部門、中学校部門には、賞状と全日本情報学習振興協会から1万円分の図書カードをはじめスポンサー各社からの副賞。スポンサー賞には、賞状とUnity賞が書籍セット、NECパーソナル賞にはタブレット端末「LAVIE Tab E TE508/BAW」が贈られた。
表彰のあと、審査委員長をつとめた河口洋一郎氏(CGアーティスト、東京大学大学院情報学環教授)は、「非常に多様性に富んでいて選ぶのが難しかったです。ですが、今日、私はみなさんの作品を見ていて、現代版ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチの世界に突入するための人材が育成されているようにも感じました。僕は個性などを含めて、これから理解しがたいくらいブッ飛んだ人材がここから生まれてほしいです」と講評を語った。
審査員の宗村和則氏(株式会社スイッチサイエンス代表取締役の金本茂氏代理)、林千晶氏(ロフトワーク代表取締役)、増井雄一郎氏(株式会社トレタCTO)、松林弘治氏(エンジニア/著述家、Project Vine 副代表)、池和田有輔氏(Unityエバンジェリスト)も、それぞれ違った立場から今回の小中学生の作品を講評。
なお、前後するが最終審査が行われている間に表彰式会場では、実行委員会の遠藤諭氏(角川アスキー総合研究所)、清水亮氏(株式会社UEI代表取締役社長)、石戸奈々子氏(NPO法人CANVAS理事長)による鼎談が行われ、小中学生のプログラミングの今後への期待や、コンテストの第二回に向けた意気込みも語られた。
最後に、北は北海道から南は沖縄まで寄せられた応募作の学年別、およびジャンル別の内訳を紹介する。男女比は、グループ参加もあるため公表されていないが、最終審査会に集まった入賞作品でも、とくに小学生では女子生徒の作品が注目され上位入賞したのは印象的だった。
第一回「全国小中学生プログラミング大会」公式サイト:http://www.lab-kadokawa.com/jjpc/
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