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最新パーツ性能チェック 第154回

大幅刷新された“Kaveri”「A10-7850K」はなにが変わった?

2014年01月15日 21時00分更新

文● 加藤 勝明

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CPUコア4基、GPUコア8基という考え方

 さて、上のスペック表で「GPUコア数」という見慣れない項目があり、「A10-7850K」では“8コア”と読める点に気がついただろうか? 「A10-7850K」に内蔵された512基のSPは、64基ごとにテクスチャーユニットや命令キャッシュなどと一緒にまとめられ、「Compute Unit」を構成する。AMDはこのCompute Unitを「GPUの1コア」として勘定しているのだ。

A10-7850Kのパッケージに貼られたラベルには、「12 Compure Cores」の表記が見られる

 そしてKaveri世代のAPUは、CPUのコア数とGPUのコア数を合算した「Compure Core」というスペック表記が採用された。「A10-7850K」の場合CPUが4コア、GPUが8コアなので12 Comupure Cores、A10-7700KはGPUが6コアなので10 Comute Coresとなる。

Kaveriでは64基のSPとスケジューラーやスカラー演算ユニットなどで1基のCompute Unitを形成する。「A10-7850K」の場合、これが8基内蔵されている

 さてAMDはこんな珍妙なスペックを持ち出して、一体何をしたいのか? その答えはAPU、つまりGPUとCPUが渾然一体となって処理を進めるというAPUの設計思想の延長線上にある。

 Kaveriでは従来別個のメモリー空間に別れていたCPUとGPUのメモリー空間を、どちらのコアからでも等しく扱えるようにする「hUMA(heterogeneous Uniform Memory Access)」という仕組みが組み込まれた。

 Kaveri以前では、GPUに何か処理をさせようと思ったら、CPU側のメモリー空間からGPU側へ多量のデータを転送し、結果を戻してもらうという手間が必要だった(そしてこれがGPGPUのボトルネックとなる)。しかしKaveriではCPUとGPUがメモリー空間を共有するようにアクセスできるため、ずっと処理効率が良くなる。

 これを支援するのがCPUとGPUの処理を統合的に利用するプログラミングフレームワーク「HSA(Heterogeneous System Architecture)」だ。GPUとCPUの間にある壁を取り払い、Compure Coreをフレキシブルに使えるのがKaveriで真に注目すべき変更点なのである。

SteamrollerベースのCPU部4コアと、GCNベースのGPU部8ないし6コアを自在に使えるのがKaveriの魅力

hUMAによってGPUはCPUと同じメモリー空間にアクセスできるほか、処理の生成に関してもCPUと同じように扱える

 しかし、現実のアプリを見ればわかる通り、GPUに処理させて有効な処理は限られている。ゲームでもGPUによる物理演算やエフェクト処理(TressFXが好例)が組み込まれ始めたが、まだまだCPUコアへの依存度は高い。Kaveriによってヘテロジニアス・コンピューティングのための下地が出来た、程度の認識でいいだろう。

現状でも「Photoshop CC」の一部のフィルター処理や「LibreOffice」の計算処理にGPUパワーが効くとAMDはうたっている

主要ゲームタイトルにおけるGPU支援の一例。特に「トゥームレイダー」における髪の毛の表現(TressFX)は必見だ

ベンチ環境は?

 そろそろ性能の検証に入ろう。その前に今回のテスト環境を紹介しておく。比較対象として「A10-6800K」および「Core i5-4670K」を準備した。内蔵GPUの性能をフルに発揮させるには、高速なメモリー(DDR3-2400など)が欲しいところだが、機材調達の関係上DDR3-1600で統一している点はご容赦いただきたい。

テスト環境
CPU AMD「A10-7850K」(3.7GHz)
AMD「A10-6800K」(4.1GHz)
、「Core i5-4670K」(3.4GHz)
マザーボード ASRock「FM2A88X Extreme6」(AMD A88X)
ASUS「GRYPHON Z87(Intel Z87)」
メモリー Patriot「PSD38G1600KH」(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
グラフィック CPUに内蔵
SSD Intel「SSDSC2CT240A4K5」(Intel SSD 335 240GB)
電源ユニット サイズ「GOURIKI3-P-500A」(80PLUS BRONZE、500W)
OS Windows 8.1 Pro(64ビット)

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