1月14日、AMDは同社の「AMD Aシリーズ APU」の最新モデル3製品を正式に発表した。すでにショップには実売2万2000円前後のフラッグシップモデル「A10-7850K」、および実売2万円前後の「A10-7700K」が並んでいる(残された1製品「A8-7600」の発売日は不明)。
高性能内蔵GPU付きかつ倍率ロックフリーな4コア4スレッドCPUとしては、2万7000円前後で流通している「Core i5-4670K」よりお手軽感が高い。今回は最上位モデル「A10-7850K」をテストできる機会に恵まれた。ざっくりとではあるが新APUの見どころや性能をチェックしてみたい。
CPU/GPUともに
最新アーキテクチャーに刷新
まずは今回製品化された「A10-7850K」および「A10-7700K」の基本スペックをチェックしよう。両CPUともTDPは95W、既存のSocket FM2+マザー(要対応BIOS)に装着できる。
APUの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
開発コード | Kaveri | Richland | ||||
モデルナンバー | A10-7850K | A10-7700K | A10-6800K | |||
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 | |||
GPUコア数 | 8 | 6 | - | |||
CPUコアクロック (ターボ時最大) |
3.7GHz(4GHz) | 3.4GHz(3.8GHz) | 4.1GHz(4.4GHz) | |||
GPU SP数 | 512 | 384 | 384 | |||
GPUコアクロック | 720MHz | 720MHz | 844MHz | |||
2次キャッシュ | 4MB | 4MB | 4MB | |||
TDP | 95W | 95W | 100W |
今回リリースされた新APUは、これまで開発コード“Kaveri”の名前で知られていた製品だ。Kaveriの設計的な特徴は、2012年の“Trinity”および昨年の“Richland”で使われていたPiledriverアーキテクチャーを改良し、コアの処理効率を高めたSteamrollerアーキテクチャーで設計されていることだ。
Piledriver、またはそのベースとなったBulldozerはシングルスレッド性能の低さがネックになっていたが、Steamrollerでは命令デコーダの強化やL1キャッシュ拡張といった数々の改良を盛り込んだ。
ただし今回の製品は、CPUコアクロックが最上位の「A10-7850K」でも3.7GHz、ターボが効いても4GHzと、先代のフラッグシップ「A10-6800K」に比べると400MHzずつ低く設定されている。コアの性能が向上した分とクロックの低下分がどう影響するかは、以降のベンチマークで検証する。
Kaveriにおける重要な変更点といえるのが、GPU部がGCNアーキテクチャーで再設計されたことだ。昨年のRichlandのGPUは「Radeon HD 8760D」などの型番が与えられていたが、技術的にはRadeon HD 6000シリーズの延長線、つまり「VLIW4」世代のGPUでしかなかった。
しかしKaveriのGPUは現行Radeonと同じ「Radeon R7 Graphics」の名が与えられ、デスクトップ向けGPUのアーキテクチャーと同じ要素を獲得した。つまりKaveriは「DirectX11.2」および「Mantle」のAPIに対応し、新サウンド機能「TrueAudio」、そして今注目のUHD(4K)にも対応する。
GPUのスペックは「A10-7850K」が512SP、A10-7700Kが384SP、どちらもGPUコアは720MHzで動作する。「A10-6800K」のGPUは384SP/844MHzなので、こちらもクロックは先代に対し控えめに設定されている点に注目だ。
その他細かい変更点としては、PCI Express 3.0対応などが挙げられる。すでに昨年の時点でSocket FM2+でPCI Express 3.0対応のマザーが登場しているが、これにKaveriを加えることでようやくその機能が利用可能になる。
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