前回のインテル編に引き続き、今回はInternational CES 2013で発表したAMDのロードマップアップデートを、順を追って説明しよう。
上の画像が、2013年におけるAMD製品のロードマップだ。ここで明らかになったのは、デスクトップ向けAPUとして、現在の「Trinity」(AMD Aシリーズ)に加えて比較的早い時期に「Richland」が投入される。これは引き続き32nm SOIプロセスを使った製品である。
次に2013年中旬を目処に、既存の「Brazos 2.0」(AMD Eシリーズ)と「Hondo」(AMD Zシリーズ)が、それぞれ「Kabini」および「Temash」に更新される。これは28nmプロセスを使った製品である。年末にはRichlandの後継として「Kaveri」が投入される。こちらも28nmプロセスを使った製品だ。GPUに関しては、引き続き28nmプロセスのまま、既存の「Sea Islands」から「Solar System」に移行していくことになる。
中継ぎとしてRichlandを投入
それではもう少し細かく見ていこう。まずRichlandであるが、これは昨年まではなかった製品である。製品としてはA10およびA8のラインナップに投入される。つまりパッケージなどは同一であり、それでも最大で20~40%の性能の改善と、より低消費電力が実現する。この20~40%というのは3DMark11のスコアを比較したもので、資料に詳細が載っている。
3DMark11のスコア比較資料 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
ファミリー | 製品名 | スコア | ||||
Trinity | A10-4600M | 1150 | ||||
A8-4555M | 780 | |||||
Richland | A10-5750M | 1400 | ||||
A8-5545M | 1100 |
資料に型番が載っているあたり、AMDもあまりRichlandの細かな情報を隠すつもりはなさそうだ。既存のA10/A8におおむね1000番ほど上乗せしたものがRichlandのモデルナンバーになるようだ。内蔵されるGPUは、「A10-5750M」がRadeon HD 8650G、「A8-5545M」がRadeon HD 8510Gという型番になることも既に明かにされている。消費電力についても、同じプロセッサーを使っての比較となっており、6セル/62.16WHourのバッテリーを使った場合、ウインドウズをアイドル状態で待機させた場合のバッテリー寿命が「A10-4600M」だと725分なのが、「A10-5750M」だと780分に伸びるといった数字が示されている。
Richlandは基本的にはTrinityの選別品である。もう少し正確に言えば、GLOBALFOUNDRIES社が製造する32nm SOIプロセスがやっと安定してきており、従来よりもやや上まで引っ張れるようになったため、Trinityよりもやや性能を上げるかたちでラインナップしたものとなる。
ただし、生産される全量がより高い周波数で動作するわけではないので、高い周波数で動作するものをRichlandとして投入し、従来の周波数レンジのものは引き続きTrinityとして投入することになる。そのためRichlandの投入時期には、従来のTrinity製品はやや値下げすると思われる。
そのRichlandを含むAMD Aシリーズのロードマップ訂正版が上の図である。当面TrinityとRichlandが共存すると思われるため、非常に入り組んだ図になっている。前述のとおりRichlandは基本的にTrinityの選別版のため、搭載されるGPUのシェーダー数やキャッシュ構成などはTrinityと完全に同じだ。CPUとGPUの動作周波数をやや引き上げるとともに、TrinityではDDR3-1866までだったメモリーを、RichlandではDDR3-2133までサポートするというのが、違いのすべてといっても差し支えない。
なお、GPUの型番も1000増えているが、残念ながら未だにVLIW4世代、つまりRadeon HD 6000シリーズのGPUそのままである。このRichland、早ければ3月あたりには製品出荷が開始とされている。
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