本体だけでも性能は十分
これだけの薄さでありながら、標準電圧版のCore iシリーズを搭載しているのだから恐れ入る。今回試用した試作機は、店頭販売モデルである「VPCZ219FJ/B」であり、搭載されていたCPUはCore i5-2410M(2.30GHz)。CTOモデル(VAIO OWNER MADEモデル)ではCore i7-2620M(2.70GHz)まで搭載できる。
放熱が気になるところだが、底面に搭載された2つのファンなどから吸気して、本体左側面から排気することで、熱問題を解決しているようだ。底面がフラットなので、ファン部が塞がれてしまいそうだが、そうしないための工夫がデザインにある。本体のヒンジ部にアルミニウムのバーが組み付けられているが、ここが床に接することで本体がチルトして、底面にすき間を確保するという構造になっている。また、アルミのバーはヒンジを保護する役目も果たしているようだ。
旧Zシリーズに比べかなり薄くなっているが、「必要なコネクターはフルサイズで提供する」「13型ディスプレ+十分にサイズの大きなキーボード」というポイントに変化はない。
より「薄い」製品になったのは、VAIO Xの直接的な後継機が用意されず、Z2でカバーすることになったことと無縁ではないはずだ。今期のモバイル向けVAIOは、光学ドライブを内蔵した「VAIO S」と、Z2の2ラインナップになっている。Zは最軽量・最薄モデルとしての位置づけも担うことになったため、ここまで薄い製品になったというところだろう。
重さは本体のみの状態で約1.165kg。Atom搭載機だったVAIO Xに比べればさすがに重いが、Core iクラスの製品としては、他機種と比べても重くない。バッテリー駆動時間は約9時間(JEITA測定法1.0による、以下同)というから、薄さ・重量のバランスと見てもなかなかだ。無線LANを併用しての動作速度は、おそらく4.5時間から5時間の間、といったところだろうか。
だが、Z2はこれだけで評価してはもったいない。「合体」して初めて、その本質が見えてくるのだ。
「シートバッテリー」「Power Media Dock」と
合体して真価を発揮
Z2は2つの意味で「合体」が大きな意味を持っている。
一つ目は「バッテリー」。別売のオプションとして本体下部に敷く形で利用する「シートバッテリー」が用意されており、これを併用することでバッテリー駆動時間は約17.5時間まで拡大する。実用環境なら9時間弱というところだろうか。併用すると重量は約1.7kgまで重くなるが、ボディーのデザインは多少厚くなるくらいで、大きく変わらない。
また、併用時はシートバッテリーから消費されるうえに、シートバッテリーだけでも充電できるようになっているので、日常的な使い勝手もいい。この構造はVAIO Sシリーズでも採用されているが、シートバッテリー自身はZ2専用のものであり、互換性はない。
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