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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ― 第20回

GoogleとAmazonの本格参入が「第2の波」になる

電子書籍元年は幻だったのか? 現状を確認してみた

2011年02月25日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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期待と失望の2010年――電子書籍元年と言われて

元年(がん-ねん) ある物事の出発点となるような年。(小学館デジタル大辞泉より)

 「2010年は電子書籍元年と騒がれたけれど、全然身近なものになっていないじゃないか」「試しにAppStoreで電子書籍アプリを展開したけど全然儲からないじゃないか」

 最近、こんな声が聴かれるようになった。はたして電子書籍元年とは幻だったのだろうか? 冒頭に挙げた「元年」の本来の意味を考えれば、言葉の意味のまま、つまり、電子書籍の出発点となった年であることは疑問の余地がない。

 けれども、わたしたちの周りを見渡しても、電子書籍を当たり前のように読むスタイルを楽しんでいる人はそう多く見あたらない。ガジェット好きの知己が多い筆者の周りでも同様だ。

 筆者は今、国内の電子書籍は胎動の時期と考えているが、ここで2010年4月の開始以来、20回を迎えたこの連載を振り返り、今後何が起こるのか整理しておきたい。

 以下のリストは、筆者が2010年4月からこれまでにASCII.JPに掲載した電子書籍関連の記事だ(日付は公開開始日)。

 なお、これらの記事のうち☆マークのついたものは拙著『生き残るメディア、死ぬメディア』(アスキー新書)にも改訂を加えて収録済み。

電子書籍ブームは幻だったのか?

 2010年10月以降は、危機が叫ばれるアニメビジネスに連載の軸足を移しているが、振り返ると4月から9月までの間かなりの頻度とボリュームで記事を書いていたことが分かる。では世間一般は電子書籍に対してどの程度反応していたのだろうか? 検索ボリュームのおおよその傾向をつかむことができるGoogleトレンドで調べてみた。

Googleトレンドで、単語「電子書籍」の検索数の推移を見ると、2011年に入って急速に減少していることがわかる

 やはりiPadが日本で発売となり、電子書籍端末としての期待が高まった5月に1つの山が見られる。しかし、その後は大きな高まりはない。iBook Storeにさっぱり日本語の書籍が並ばす、電子書籍アプリが単発でリリースされるという動きに留まったからだ。

 だが、9月末に衝撃的なネーミングで登場したシャープの「ガラパゴス」、その後のソニー、KDDI、ドコモ+大日本といった国内組のサービス開始に伴って、世間の関心は再び高まったようだ。

 しかし、今年に入って再び下降しているのは気になるところ。連載でもたびたび指摘しているように、各サービスともタイトル数が圧倒的に足りないのだ。例えばシャープのガラパゴスのラインナップは約2万点とされるが、都心の大型店などとは比ぶべくもない。

 電子書籍に求められる検索性や、Amazonのようなリコメンデーションによる「本との出会い」が生まれるにはそれなりの母数が必要なのだ。

 デバイスや新サービスの登場で関心(≒検索ボリューム)が高まるものの、その後の伸びが続かない理由も、このライブラリーの貧弱さに原因があると筆者は考えている。

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