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日本型電子出版モデル策定へ

大日本印刷、凸版印刷が「電子出版制作・流通協議会」を設立

2010年07月28日 09時00分更新

文● まつもとあつし

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左から代行理事の名和氏(凸版印刷)、副会長の大湊氏(凸版印刷)、会長の高波氏(大日本印刷)、代行理事の北島氏(大日本印刷)

 2010年7月27日、大日本印刷株式会社と凸版印刷株式会社は、自らが発起人となる「電子出版制作・流通協議会」を設立した。

 会長に、大日本印刷の代表取締役副社長 高波光一氏、副会長に凸版印刷常務取締役の大湊満氏が就任する。さらに、幹事会員として上記2社のほか、広告モデルの検討のため電通が加わる。

 この協議会では出版業界とのこれまでの信頼関係を活かし、先に設立された電子書籍出版社協会とも密接に連携することで、日本型の電子出版のビジネスモデル、技術仕様の策定を図っていくという。

 協議会には設立時点で89社(記事末尾に一覧)が参加しており、オブザーバーとして設立に立ち会ったパナソニック、シャープなども参画に前向きであるとし、参加企業はさらに増える見込みだ。


「印刷関連業者や、日本独自の出版文化を守るため」

 記者からの質問では、「垂直統合で展開するAmazonやAppleなどに比べ、協議会が想定する水平統合モデルでは、コストが上がり、スピードが落ちるのではないか?」という疑問が寄せられた。

会長の高波氏(大日本印刷)。独自の規格が乱立してISBNすら無い電子出版の状況に危惧を示し、紙を中心とした健全なモデルの確立を目指すと語った

副会長を務める凸版印刷の大湊氏。自動組版など紙の分野で培った技術を電子書籍にも活かせるはずとする

 それに対し、理事を務める北島氏らは、「確かに効率という面では垂直統合が優れている面があり、それは否定しないが、中小の印刷関連業者や、日本独自の出版文化を守るためにもこのような組織が必要だ」と応じた。

 海外に比べ、電子書籍の本格的な展開が遅れていると言われる日本市場。現在のところ、参加各社は国内企業が中心となっているが、今後はAmazon、Apple、Googleなど海外企業とも協議を行ないたいと意欲を示した。

 海外では例がない2大印刷会社が中心となっての協議会の設立が、「日本語」「独自のビジネスモデル・商慣習」と結びついて、どのような影響を国内の電子書籍分野に及ぼすだろうか?

 参加企業の顔ぶれをみても分かるように、出版界だけでなくIT、通信各社など幅広い分野から関心が寄せられているようだ。


<参加企業一覧>

幹事会員3社

大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社、株式会社電通


以下五十音順

一般会員46社

株式会社暁印刷、株式会社朝日新聞社、インフォコム株式会社、株式会社インプレスホールディングス、株式会社ウェイズジヤパン、株式会社工ストール、エヌ・テイ・テイ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、株式会社エムティーアイ、株式会社エル・シー・エス、オンキョー株式会社、株式会社角川コンテンツゲート、株式会社紀伊国屋書店、株式会社教育出版センター、共同印刷株式会社、株式会社光和コンピューター、サイバー・コミュニケーションズ株式会社、株式会社時事通信出版局、株式会社少年写真新聞社、株式会社セルシス、中央精版印刷株式会社、デジブックジャパン株式会社、株式会社東芝、株式会社トーハン、図書印刷株式会社、豊国印刷株式会社、日本写真印刷株式会社、日本出版販売株式会社、株式会社ネットラーニング、萩原印刷株式会社、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、パナソニック株式会社、株式会社ビットウェイ、株式会社ビービーエムエフ、富士ゼロックス株式会社、株式会社プレミアムエージェンシー、方正株式会社、株式会社毎日新聞社、株式会社モバイルブック・ジェーピー、株式会社モリサワ、株式会社ヤッパ、株式会社リンク、株式会社ワールドプランニング、株式会社ACCESS、CHIグループ株式会社、DICグラフィックス株式会社


賛助会員36社・団体

アイディールシステム株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ、インテル株式会社、株式会社ウェブテクノロジ、株式会社エヌ・ティ・ティ・カードソリューション、株式会社遠藤デザイン、大阪書籍印刷株式会社、カシヨ株式会社、株式会社共同通信社、慶昌堂印刷株式会社、長苗印刷株式会社、株式会社サンニチ印刷、株式会社シーオーツー、シスコシステムズ合同会社、株式会社昭和ブライト、株式会社新興出版社啓林館、新生紙パルプ商事株式会社、スターティアラボ株式会社、セイコーインスツル株式会社、株式会社第三文明社、大日本スクリーン製造株式会社、株式会社ダイヤモンド・グラフィック社、株式会社テレカルト、株式会社日経ビーピー、社団法人日本印刷産業連合会、株式会社日本総合研究所、日本ユニシス株式会社、株式会社ビューン、有限会社前田印刷、明治大学法学部、メディアエムジー株式会社、有限会社メディアビーンズ、ヤフー株式会社、山口北州印刷株式会社、株式会社NTTデータ、UQコミュニケーションズ株式会社


特別会員4名

岩本敏(株式会社小学館)、植村八潮(東京電機大学)、佐々木隆一(一般社団法人著作権情報集中処理機構)、柳与志夫(国立国会図書館)


参加予定企業18社・団体

富士通株式会社、ほか


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