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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 ― 第9回

パナソニックリチウムイオン工場~展望と課題

2010年04月20日 09時30分更新

文● 大河原克行

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パナソニック エナジー社住之江工場(航空写真 住之江工場の全景)

 パナソニック株式会社エナジー社が、大阪市住之江区の湾岸部に、世界最先端・世界最大級のリチウムイオン電池の生産拠点である住之江工場を竣工した。

 関西電力が所有する大阪発電所跡地の14万8000平方mの敷地を利用。まずは、第1期として11万1000平方mの敷地に、延床面積9万4000m2の生産設備でスタート。月産1000万個の生産規模で開始し、市場の状況を見極めながら、順次ラインを増設し、月産2500万個、年産3億個にまで拡張する。

リチウムイオン電池の生産が行われる組立棟

 さらに、第2期工事の着工も予定されており、フル稼働時には月産5000万個、年産6億個のリチウムイオン電池の生産が可能になるという。

 「源泉工程から電池セル生産までの一貫生産が可能になる世界最先端の工場。パナソニックは、エレクトロニクスNo.1の環境革新企業を目指し、エナジー事業をグループの中核事業と位置づけている。なかでもリチウムイオン電池は、今後10年間で5倍強に市場が拡大する旺盛な需要が期待される市場と見ている。住之江工場は、そのリチウムイオン電池の主力生産拠点になる」と、パナソニック エナジー社の野口直人社長は語る。

竣工式で挨拶するパナソニック エナジー社の野口直人社長

 これまでリチウムイオン電池の主な用途は、パソコンや携帯電話などのモバイル機器が中心だった。

 だが今後は、リチウムイオン電池の応用範囲は広がりをみせ、蓄エネルギーデバイスの主要デバイスのひとつとして活用されることになる。

 住之江工場の竣工式に出席した大阪市の平松邦夫市長は

 「大阪および関西は、環境エネルギー産業の集積地であり、そのなかにリチウムイオン電池の世界最先端、最大級の生産拠点ができたことは大変喜ばしいこと。大阪湾が持っている価値は、大阪人が思っているようりもすばらしいものであることを知ってもらいたい。民間の知恵を生かし、地球規模での環境事業に取り組むことに期待している」と、住之江工場の稼働に期待を寄せる。

大阪市の平松邦夫市長(右)と談笑するエナジー社の野口社長

 2009年1月に行われた起工式では、大阪府の橋下徹知事も参加。

 その際に、「世界中で新エネルギーに注目が集まるなかで、この流れをいち早く掴めるかどうかが鍵になる。大阪が新エネルギーにおいては、世界の供給源になるのは間違いなく、新エネルギーは大阪ということを発信したい。大阪のベイエリアは、パネルベイともいわれたが、今後は、新エネルギー地区としてベイエリアが活気づくことになる」とコメントし、住之江工場の役割に期待をかける。

2009年1月に行われた起工式では大阪府の橋下徹知事も駆けつけた

 実際、橋下知事は、起工式後に大阪府庁に帰るなり、新産業エネルギー課を作ることを決断し、2009年4月1日から同課がスタート。「新産業エネルギー課は、住之江工場の建設とともに始まった課ともいえる」(大阪府)という逸話もある。

 大阪府では、2011年3月には、新エネルギーの国際会議を大阪で開催する予定であり、「大阪、関西の新エネルギー産業を世界に向かって発信していきたい」(橋下知事)としている。

 パナソニックの大坪文雄社長は、「全事業活動の基軸に『環境』を置き、イノベーションを起こす」と宣言しエナジーシステム事業の売り上げ規模を、2018年度には3兆円以上を目標に掲げている。

 「将来のパナソニックのフラッグシップ事業に成長させる」(大坪社長)という指針を打ち出す上では、住之江工場はその重要拠点となる。

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