ラジオが聴ける・録れるネットブック?
今回評価したC411A5で興味深いのは「ラジオ」を内蔵していることだ。インターネットラジオではなく、地上アナログ波のAM/FM放送を受信するラジオである(2011年以降もラジオ放送はデジタル/アナログ併用)。内部のMini PCI Express Cardスロットに、独自開発のシリコンチューナーをUSB接続で搭載。独自アプリケーション「PureSpace RADIO」での、再生/録音が可能だ。
ラジオの受信範囲は、FMが76.0~90.0MHz、AMが522~1629kHzと国内の標準帯域をカバーし、地域別にチャンネルが細かくプリセットされている。アンテナは内蔵されていない。マイク端子に付属の「アンテナ接続用変換アダプター」を差し込んでアンテナ線から電波を取るか、マイク端子にヘッドホンなどを差し込んで使うことになる(ヘッドホンケーブルがFMアンテナになる)。
実際に試してみたところ、電波の受信状況に左右されるのだが、音質もほどほどに良好で、パソコンでラジオを聴くという珍しい体験ができた。
録音ボタンをクリックすると、AM/FMともに48kbps(モノラル)~128kbps(ステレオ)のビットレートで、mp3ファイルとしてHDDに記録される。テレビ録画ソフトのように録音予約も可能だが、テレビチューナー&録画ソフトのように「電子番組表から指定して番組予約」……なんてことはできない。録るチャンネルや録音開始・終了時間の指定から、番組タイトルなどまで、ユーザー自身で入力する必要がある。往年のタイマー録音の雰囲気と言えば懐かしいが、機能面ではもう一頑張りほしい。
「ネットブックでラジオ」というのは、機能として非常にユニークで、ほかに類を見ないものだ。だが皮肉なことに、3月15日から国内の主要ラジオ局が、放送と同じ内容をネット配信する試みを始める予定である。こちらはFlash Playerを使ったストリーミング配信ということなので、録音は期待できないので、C411A5の利点が完全に損なわれたわけではないのだが……。付属のAMアンテナは折りたたみ可能だが、十分な電波強度を得るために少々大きいので、持って歩くとなると携帯性を損なうのも、ネット配信に比べると難しいところだ。
なおラジオチューナーの代わりに、テレビの地上デジタル放送チューナーを内蔵した「C411A6」も用意されている。内蔵チューナー用にminiB-CASカードを納めるスロットも、本体内部(バッテリーを外した部分)に用意してある。
★
単純に普通のネットブックとしてC411A5を見と、1024×600ドット表示の画面や約3.3時間のバッテリー駆動時間はありふれている。実勢価格が5万円前後のネットブックは、最も競争の激しい分野。独自開発のラジオ機能や、ピュアオーディオを実現する音楽プレイヤーに魅力を感じられるかが、選択の鍵になるだろう。例えば直販サイトでの購入時には高品位なパワードスピーカーとのセット販売をするなど、音を主体としたオンキヨーならではのもう一手もほしいところだ。
C411A5(店頭モデル)の主な仕様 | |
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CPU | Atom N450(1.66GHz) |
メモリー | 1GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 10.1型ワイド 1024×600ドット |
ストレージ | HDD 250GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n |
インターフェース | USB 2.0×3、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LAN、マイク/ラジオアンテナ兼用端子など |
サイズ | 幅258×奥行き186×高さ23mm |
質量 | 約1.1kg |
バッテリー駆動時間 | 約3.3時間 |
OS | Windows 7 Starter |
価格 | オープンプライス(直販価格 4万9800円) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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