アイドル時の消費電力が大きく削減
今度は、ワットチェッカーを利用して、システム全体の消費電力を計測してみた。OS起動後10分放置した状態を「アイドル時」、ラストレムナントベンチマーク実行中を「高負荷時」とし、アイドル時の消費電力と高負荷時のピークの消費電力を計測した。
結果はグラフ12に示したとおりで、Radeon HD 5870は、アイドル時の消費電力が大きく減っていることがわかる。Radeon HD 4890との差は45Wにもなる。省電力機能が強化されていることも、Radeon HD 5870の特徴の1つだが、その効果がはっきりと現れている。PCを使っている際に、常にGPUに負荷がかかっているわけではないので、アイドル時の消費電力が削減されれば、電気代も下がり、省エネルギーにも貢献する。さらに、高負荷時の消費電力も4製品中最も低い。高負荷時の消費電力は、GeForce勢が軒並み高い。Radeon HD 5870は、環境に優しいGPUといえるだろう。
Radeon HD 5870がアイドル時の消費電力を大きく削減できた理由は、コアクロック/メモリクロックの可変範囲を広げたためだと思われる。もともと、Radeon HDシリーズでは負荷に応じてコアクロックを動的に変化させる「PowerPlay」機能を搭載しているが、Radeon HD 4890では、コアクロックが最低240MHzまでしか下がらず、メモリクロックは975MHzで固定になっている。しかし、Radeon HD 5870は、PowerPlay機能が強化され、コアクロックが最低157MHzまで下がり、メモリクロックも300MHzまで下がるようになっている。
負荷によって大きく変わるGPU温度
最後に、ハードウェアモニタリングソフトの「HWMonitor Pro」を利用して、GPU温度を計測した。アイドル時と高負荷時の条件は、消費電力計測時と同じである。結果はグラフ13に示したとおりだ。Radeon HD 5870は、アイドル時のGPU温度は比較的低いが、高負荷時ではかなり高くなっている。とはいえ、GeForce GTX 275はさらに高負荷時の温度が高い。また、高負荷時のファンの騒音は、Radeon HD 5870は他の製品と比べて静かであった。
DirectX 11時代を切り拓く、期待通りの製品
Windows 7の発売を前に、DirectX 11対応GPUの登場が期待されていたが、世界初のDirectX 11対応GPUであるRadeon HD 5870の性能はその期待を裏切らないものであった。
まだ、DirectX 11対応ソフトはほとんどないので、DirectX 11対応というメリットをすぐに活かせるわけではないが、DirectX 10対応ソフトにおいても、シングルGPUとしては最高のパフォーマンスを発揮しているので、現在使っているビデオカードの性能に不満があるのなら、乗り換える価値は十分にあるだろう。もちろん、DirectX 11環境をいち早く整えたいという人にもオススメだ。
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