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最新パーツ性能チェック 第53回

【最新パーツ性能チェックVol.53】

Spiderの“4本の脚”となる「RADEON HD 3800」シリーズはゲーム環境をどう変える?

2007年11月24日 23時00分更新

文● 加藤 勝明

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Spiderプラットフォームが来た!

 今AMDが精力的な活動を見せている。期待のクアッドコアCPU「Phenom」、それに対応した最新チップセット「AMD 790FX」、そして新設計のGPU「RADEON HD 3800」シリーズと話題に事欠かないが、これらは全てAMDの新プラットフォーム「Spider」の一部だ。今回はSpiderプラットフォームのうち“4本の脚”を担う最新GPU「RADEON HD 3870」、および「RADEON HD 3850」のインプレッションをお届けしよう。

「RADEON HD 3870」

AMD純正の「RADEON HD 3870」。2スロット占有仕様の製品だ

「RADEON HD 3880」

AMD純正の「RADEON HD 3880」。こちらは1スロット仕様となる

既存の製品の隙間を埋めるHD 3800シリーズ

 RADEON HD 3870および3850を理解する上で重要なキーワードは、“55nmプロセス”、“DirectX10.1”そして“スーパーミドルレンジ”の3つだ。HD 3800シリーズの設計は先代「HD 2900XT」と基本的に同一のものを55nmプロセスでシュリンクし、新たに「PCI Express 2.0」と「DirectX10.1」に対応させ、従来非搭載だった動画再生支援機能「UVD」等を追加したものだ。

  Radeon HD 3870 Radeon HD 3850 Radeon HD 2900XT GeForce 8800GT
Stream Processors 320 320 320 112
コアクロック 775MHz+ 670MHz 740MHz 600MHz
メモリクロック 2.25GHz 1.66GHz 1.65GHz 1.8GHz
搭載メモリ 512MB GDDR4 256MB GDDR3 512MB GDDR3 512MM GDDR4
メモリバス幅 256bit 256bit 512bit 256bit
プロセスルール 55nm 55nm 90nm 65nm
UVD あり あり なし なし
(PureVideo HD)
DirectX 10.1 10.1 10 10

 全体的な動作クロックは若干上がっているが、その反面メモリーバス幅は512bitから256bitに減らされている点も重要だ。バス幅半減によるメモリー帯域の低下は、メモリーコントローラー自体の最適化によってクロック当たりの帯域を確保しているため、性能は同様とのことだが、「HD 2900XT」にとってかわる程のインパクトはない。すなわち“スーパーミドルレンジ”的な位置付けなのである。ちなみに、ハイエンドは来年早々に「HD 3870」を2つ搭載したデュアルGPUカード「HD 3870 X2」で補完するという。

仕様

「Radeon HD 3870」、「Radeon HD 3850」搭載カードの仕様

市場セグメント

Radeon HD 3800シリーズの市場セグメント。現在「HD 2900 XT」が占めているゾーンは「HD 3870 X2」が担う

テスト環境

 それではベンチマークを使った評価に入ろう。今回テストに用意したのは「AMD 790FX」チップセット搭載のMSI製マザーボード「K9A2 Platinum」を中心にした下表の構成のマシンだ。本来なら「Phenom」を加え、完全な「Spider」プラットフォームでのテストを行ないたかったが、CPUの手配が間に合わなかったため、今回は「Athlon64 X2 5000+」を利用している。

K9A2 Platinum

「AMD 790FX」を搭載したSocket AM2対応マザーボード「K9A2 Platinum」。PCI Express(2.0) x16対応スロットを4本装備(x16/x0/x16/x0でCross Fire対応、VGA4枚差しの場合は全てx8動作)している

「CIRCU-PIPE」

North bridgeとSouth bridge、PWM周りをヒートパイプで接続する同社の冷却機構「CIRCU-PIPE」を採用。従来の縦型と異なり、横型に変更されているため、CPUクーラーなどと干渉する心配はより低下している

 HD 3870および3850単体でのテストには、MSI製「RX3870-T2D512E/D4」「RX3850-T2D256E/D3」を用い、後に解説するCrossFire実験ではAMDから借用したリファレンスカードを使用している。比較用としてPowerColor製「AS-HD2900XT 512M GDDR3 PCIE」と、MSI製「NX8800GT-T2D512E」も用意した。

RX3870-T2D512E/D4

今回検証に使用したRadeon HD 3870搭載のMSI製ビデオカード「RX3870-T2D512E/D4」。リファレンスデザインとなる製品で、コア/メモリクロックは775MHz/2250MHz、ビデオメモリはDDR4 512MBとなる

RX3850-T2D256E/D3

こちらはRadeon HD 3850搭載のMSI製ビデオカード「RX3850-T2D256E/D3」。こちらもリファレンスデザインとなり、コア/メモリクロックは668MHz/1656MHz、ビデオメモリはDDR3 256MBを搭載する

AS-HD2900XT 512M GDDR3 PCIE

比較用として用意したのは、Radeon HD2900 XT搭載のPowerColor製「AS-HD2900XT 512M GDDR3 PCIE」。コア/メモリクロックは740MHz/1650MHzで、ビデオメモリはDDR3 512MB

NX8800GT-T2D512E

対抗馬として、GeForce 8800GT搭載のMSI製「NX8800GT-T2D512E」も用意。コア/メモリクロックは600MHz/1800MHz、ビデオメモリはDDR3 512MBを搭載する

 さらに、「Radeon HD 3850」はドライバ側のオーバークロック機能「ATI OverDrive」を用い、コア729MHz、メモリー1009MHzにオーバークロック(以下、OC)した状態でのテストも行なった。「Radeon HD 3870」との性能差の理由を考える手がかりになるだろう。

「Radeon HD 3850」はドライバ側のオーバークロック機能「ATI OverDrive」を用い、コア729MHz、メモリー1009MHzにOCした状態でのテストも行なった。左が通常時、右がOC時のクロックだ

テスト環境
CPU:AMD「Athlon64 X2 5000+」(2.6GHz)
マザーボード:MSI「K9A2 Platinum」
メモリ:DDR2-800(PC2-6400) 1GB×2
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA)
OS:「Windows Vista Ultimate」
ドライバ:ForceWare 169.09/Catalist 7.11β

(次ページへ続く)

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