モバイル向け40nmコアを
デスクトップにも転用か?
だからといって、次のプロセスである40nmプロセスへの移行や、DirectX 10.1対応を省くわけにはいかない。40nm世代に関しては、デスクトップ向けに先んじてモバイル向けが6月に発表されており(関連記事)、これとほぼ同じダイをデスクトップ向けに投入すると見られる。
もっとも「同じ」といっても、細かな構成はだいぶ異なるだろう。そもそも、デスクトップGPUとモバイルGPUでは、要求されるグラフィック性能や許容される消費電力にだいぶ差がある。下の写真を見て分かるのは、妙にProcessor Cores(Unifiedシェーダー)の数に開きがあることだ。
元々NVIDIAのロードマップでは、GT212のほかに「GT214」「GT216」「GT218」という3製品がラインナップされていた。詳細は不明だが、元々の計画では以下のようなポジショニングだった。
- GT212 パフォーマンス向け、GeForce GTX 260/280の後継
- GT214 メインストリーム向け、GeForce 9600 GTの後継
- GT216 メインストリーム~バリュー向け、GeForce 9500 GTの後継
- GT218 ローエンド、GeForce 9400 GTの後継
一方で、前回紹介したとおりGeForce 9シリーズの構造は、以下のようにターゲットセグメント別にシェーダー数を半減させてゆくのがセオリーだった。
- G92(GeForce 9800 GTX+) 128/64/16
- G94(GeForce 9600 GT) 64/32/16
- G96(GeForce 9500 GT) 32/16/8
- G96(GeForce 9400 GT) 16/8/4
このパターンから考えると、GT212の構成が仮に240/80/32だった場合、以下のような想定が成り立つ。
- GT212 240/80/32
- GT214 120/40/16
- GT216 60/20/8
- GT218 30/10/4
だが、これはあまりキリがよくない。しかもモバイル向けのGeForce 200Mの構造と見事にマッチしない。加えて、その後「GT215」というコアも登場している。これはGT214とGT216の間に入るらしい。以下は完全に筆者の推定である。恐らく40nm世代で、NVIDIAは下記の4種類のコアを設計している。
- GT214 128/48/16
- GT215 96/32/12
- GT216 64/24/8
- GT218 32/12/4
一方モバイル向けでは、以下のようにラインナップしているのではないかと想像される(数字はいずれも筆者推定であり、参考値程度である)。
- GTS 250M/GTS 260M → GT215
- GTS 230M/GTS 240M → GT216のシェーダーを48個に制限
- G210M → GT218のシェーダを半分に制限
問題は、これらの登場時期だ。どうも最近の話では、GT215/216/218は2009年10月、GT214は2009年12月となっているもようだ。TSMCの40nmプロセスは、やっと最近になって歩留まりが向上したという報道もあるが(関連リンク)、現時点ではまだ40nm製品はノート向けに供給するのが精一杯で、デスクトップまでは手が回らないということだろうか。
一方GT214コアについては、「キャンセルになった」という話と「12月に登場」という話の2種類があり、今のところどちらとも判断できない。元々は2009年第4四半期中に、DirectX 11対応の「G300」コアが登場という話もあったが、これは完全に後ろにずれてしまったようだ。仮に年内に発表をするとしても、量産は早くて2010年第1四半期以降になりそうだ。
今回のまとめ
・2008年6月に、第9世代のGPU「G200」(GeForce GTX 280)を投入。ハイエンド向けの巨大なGPUで、発熱も大きかった。
・シェーダーをやや減らした「GeForce GTX 260」も同時に投入するが、性能を下げすぎたため、若干強化された「GeForce GTX 260 SP216」を投入。同名で性能が異なる製品が市場に併存して混乱も招く。
・2009年に入ると、55nmプロセス世代の「GeForce GTX 275/285/295」などを投入。ただし消費電力面では大きくは下がらなかった。
・DirectX 10.1対応のハイエンドGPU「GT212」はなぜか製品化されなかった。
最先端の40nmプロセス版はモバイル向けGPUで先行。G200世代のデスクトップ向けメインストリーム~ローエンドGPUの登場は10月以降か。
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