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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第50回

地域格差はネットにも――トップブロガーが語る「見えない距離」

2009年06月15日 15時30分更新

文● 古田雄介

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ネットで脚光を浴びるほど、オフラインが無視できなくなる

―― では、今回のビデオチャット取材のきっかけになった地域差についてお聞きします。Yamadaさんとしてはどんなところで地域差を感じますか?

Yamada 古田さんの取材もそうですが、オフラインのイベントがあったときに痛感します。2008年にFPNのアルファブロガーアワード記事大賞に選んでいただいたのですが、その表彰イベントの「アルファブロガー・アワード2008」に参加できなかったのは悲しかったですね。

 どうしても会場は東京になりますから、交通費や時間を考えると参加できないんですよ。でも、本当に参加したかったですね。

 あと、有名サイトの管理人さんに誘われても、地域的に実際にお会いできないのもつらいです。北海道在住の管理人さんたちとお会いしたことは何度かあって、それはありがたいし大切にしたいのですが、東京在住の超有名どころの方にも色々聞きたいことがあるわけです。そうしたことが気軽にできないのは、やっぱり悲しいですね。

 私は職業ブロガーではないので、本職を優先して住む地域も時間も決めています。そういう人はたくさんいると思いますが、住処が北海道だと、「じゃあ、今度ご飯でも?」というチャンスが本当に少なくなるんですよ。

取材のきっかけとなったネタ帳の記事「地方のブロガーというコンプレックスを打開する方法を模索」。(出張費の出る)京都・大阪エリアまでしか足を運んでいなかった当連載の方向も考えさせられた


―― トップクラスになるほど、ネットはオンラインだけのものじゃなくなるという側面が見えますね。逆に、普通のユーザーなら、あまり関係ないともいえますか?

Yamada 情報収集やブログの公開だけなら、まったく問題ないと思います。ただ、将来ネットを使ってどうしたいと考えたときの道筋のいくつかの難易度が、東京や大阪のユーザーに比べて跳ね上がってしまう。そこはなかなか解消できない部分ではあると思います。


―― 今回みたいにビデオチャットで会うっていうのはどうでしょう。

Yamada そうですね。私も今回初めてやってみたので、これから試していったら面白いかもしれません。まだちょっとリアルで会っている臨場感には及ばない印象はありますが、少なくとも顔見知りになれるというか、一度お会いしたという記憶が残ると思うんですよ。互いに慣れたら、さらに距離が縮まるかもしれないですね。

 ただ、同郷のブロガーとのネットワークをより濃くしていくということもしていきたいと考えています。東京にブログイベントの場があるのを眺めるだけでなく、地方にも密な交流を図れる場が出来れば、ネット全体のプラスにもなると思うんですよね。

連載第4回に対するネタ帳のエントリー「一日の記事量が10件いかないとネタフルさんのようにはならないんだよ」。この後、ネタフルのコグレさんもトラックバックで記事に応えていた


―― 私もビデオチャットに関して、臨場感というところで疑問があって敬遠していました。コミュニケーションは電話や文字チャットよりとれても、Yamadaさんがディスプレイの中にしかいないから、取材の緊張感を保てるか不安があったんです。あと、この依頼を迷惑がられる心配もあったので(笑)。

Yamada 今回声をかけていただいたのは驚いたとともに、嬉しかったです。というか僕のブログを見てもらっていたというのが意外でした。私が一番最初に「顔の見えるインターネット」を知ったのは、ネタフルさんの記事なんです。(ネタフル管理人の)コグレさんが「呼吸するようにブログを書く」と言っていて、「そんなわけないだろ!」とブログで反論したのが始まりでした(笑) それがまさかこんな風になるとは。

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