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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第45回

世界最強の危険リンク集を作った「常識人」の姿とは?

2009年04月13日 12時30分更新

文● 古田雄介

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現在のネット社会にもの申す

甘いものを食べながら語ってもらった。たたずまいや態度は常識人そのもの。「ここまでサイトを続けられたのは、会社の同僚の能勢君のおかげ」と語るなど低姿勢

―― 掲示板といえば世界最強の危険リンク集でも2007年7月に掲示板を復活させていますね。あれはどんな意図からですか?

HIDE サイトに活気が欲しかったのと、2000年前後のアンダーグラウンドサイトが盛り上がった時代の仲間たちに集まってもらいたかったという面がありますね。

 2000年前後は、アングラ系サイトの管理人同士でオフ会を開くことも何度かあって、色々と交流していたんです。現在もその付き合いは続いていますが、現在もサイトを続けている人が少なくて……。「激裏情報」さんなど、数えるくらいなんです。それが一番寂しいんですけど、せめて当時の親交が温められたらいいなと。

兄弟サイトの画像掲示板集「世界最強チャンネル」。2003年から「完全に惰性でダラダラと続けています」という


―― ただ、掲示板があると、クレクレさんも出てきますよね。そういうメンテナンスは苦になりませんか?

HIDE そうなんですよね。今はそういう人が増えるから、昔の雰囲気を復活というのは無理なんですよね。2000年頃は掲示板を設置しても、ヘンな書き込みなんてありませんでしたからね。

 例えば、酒鬼薔薇聖斗の事件が取り沙汰された1997年に、少年法に関する論議をする掲示板を置いたんですが、論議の白熱はあったものの、単に場を荒らすような書き込みは一切なかったんですよ。今だったら、そうはいかないでしょ。どこかで歯車がおかしくなったんでしょうね。


―― いつ頃雰囲気が変わってきたんでしょう。

HIDE Windows XPが出た頃ですね。スパムメールが大量に出回るようになって、2ちゃんねるが盛り上がってきた頃ともいえます。おそらく、精神的な意味でネット人口の低年齢化が進んだことが原因かと思います。もう、何をやってもケンカにしかならない。建設的な意見が全然でなくなってきた感じです。


―― それでも現在まで精力的に運営していますが、何か目標を持っているわけですか?

HIDE こういうことを言っちゃいけないですけど、昔に戻りたい、戻るまで続けていきたいという感覚です。流行や文化って、何でも繰り返すじゃないですか。だから、インターネット黎明期の頃の雰囲気が復活しないかなあと期待しているところがあります。

 別にインターネットじゃなくて、まったく別のサービスが登場してそちらで活動するというのもいいんです。とにかくこのままの雰囲気で行くと、おかしな空気のままで終わっちゃいます。滅多にクリエイティブな方向にいかないというのは、悲しすぎますから。

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