PC以外のデバイスとMVNOの展開
ケータイは依然として電話機と、一部の例外のノートPCが端末としてラインアップに並ぶが、WiMAXの未来は少し違ったモノになりそうだ。電話サービスこそやらないが、3Gにもあるような通信モジュール型、そしてより広範なメーカーのPCへの組み込み、そしてもう1つが非ケータイ、非PC型のデバイスへの組み込みである。
「MID(Mobile Internet Device)のような端末や、ポータブル型のゲーム機でもいいのですが、PCの代わりではなく、全く違う使い方、ある特定の使い方に特化したデバイスがネットを活用する際にWiMAXを組み込んでいく、といった使い方はあると思います」(片岡氏)
例えばニンテンドーDSiはWi-Fi経由でインターネットに繋がり、遠隔地間やその場でアドホックに対戦したり、「うごくメモ帳」のようにDSiとはてなとを連携させたコミュニケーションサービスは、全く新しいデバイスから利用するワイヤレスネットワークの姿を表す好例と言える。
DSiのおかげで、お絵かきができる4歳児がネットを利用し始めたという話を聞くと、ケータイやスマートフォン、PC以外のネットデバイスの可能性を再認識させてくれる。
しかしこれらのアプリケーションサービスや新しいデバイスについて、「発掘の支援などは惜しまないが、全てをUQでやらなくてもいいと思う」(片岡氏)というのが、UQコミュニケーションズの基本的な姿勢だ。
「まず始めにUQブランドが付いた端末と接続サービスを提供しますが、夏以降はUQブランドではないデータカード端末やノートPCも出てくるでしょう。Wi-Fiカードのように手軽に購入していただき、すぐに契約して設定して接続できるサービスを実現していきます。もちろん接続サービスも、MVNOとして回線を他社に提供することが前提で免許を頂いていますので、自由にビジネスモデルを描いて頂いて、回線を使って頂ければと思っています」(片岡氏)
UQコミュニケーションズの回線の卸値は、1IDあたり月額3300円程度としている。UQ WiMAXは月額4480円の定額だが、ビジネスモデルによってはさらに低価格で提供するサービス事業者が登場することもあり得る。
また、アプリケーションとセットにしたインフラ提供によって、サービスやビジネスを組み立てていくといったアプローチも可能だ。同じMVNOといっても、ケータイよりも自由度の高い、独自性のあるサービスを発想することができるのがWiMAXの世界。
「オープンなことがネットの魅力」と片岡氏はMVNOによる多彩なサービスにも期待を寄せている。
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