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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第56回

クラウドで変わる学びと仕事――小山龍介氏と考える

2009年01月17日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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クラウドを絡めた整理術がワークスタイルを変える

Twinkle。Twitter+GPSの位置情報は新しい出会いをもたらす

 まさに小山氏と僕との出会いは、位置情報を絡めた検索による新しい価値を享受した結果だった。もちろんブログを読み合うことはできるかもしれない。しかしTwinkleは、声をかけることを後押ししてくれたし、近くにいればお会いすることができることも教えてくれた。まさに、人の行動を変えてくれるツールなのだ。

 「今までのライフハックは、基本的に、自分一人で完結する身の回りの話でした。ネットを活用する場合も、自分にとっての貴重な知恵、という位置付けでした。しかし、ウェブに深く入ることによって、集合知を活用できます。iPhoneやAndroidなどの新しい端末では、ウェブを手元に引き寄せられるインパクトが大きいと思います。特に、自分のいる位置情報と連動した検索方法という新しい価値に注目しています」(小山氏)

 そして小山氏の考える整理術は、「クラウド」というキーワードに向いている。クラウドはウェブ業界でのトレンドになっているが、小山氏はユーザーレベルでも、このクラウドを活用することは仕事のスタイルのパラダイムが変わると見ている。

 「クラウドにモノを置くと、パソコンを持ち運ばなくても、自分以外のパソコンやモバイルデバイスからアクセスできる環境がすぐに整います。これにより、働き方から全く違うものに変わる可能性があります。例えば、どこにいても仕事ができるようになりますし、クラウド上のドキュメントにアクセスすれば、他の人との情報の共有も簡単です。オフィス機能そのものがクラウド上に移行し、物理的なオフィスのデスクで仕事をしなければならないという概念から解放されるのです」(小山氏)

 セキュリティの問題などもあるかもしれない。しかしクラウドへのアクセスさえ確保しておくことによって、ドキュメントの整理と共有がシンプルにこなせる。そして自分や周りの人たちのワークスタイルも、オフィスという場所に縛られない働き方が可能になる。

 オフィスに縛られない、というのは象徴的な意味を持つ。1社とだけ仕事をするスタイルをも変える可能性がある、と小山氏は指摘する。

 「複数社を掛け持ちするワークスタイルが普通になるのではないでしょうか。自分の能力を生かせる場を複数のフィールドに持って仕事をする。クラウドをインフラとした仕事環境を活用することで、会社ベースではなくプロジェクトベースのワークスタイルになるんです」(小山氏)

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