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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第81回

愛される地域猫「にーに」の話

2008年12月15日 02時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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誰にでもすぐなつく「にーに」


 この猫はひときわ性格が穏やかで、地域猫という環境に慣れてくると、なんと「膝猫」に変身したのである。

誰の膝にもすぐに乗っかるのでちまたでは有名な猫になった「にーに」。乗りやすそうな膝があると、黙って乗っかってくる(2007年5月撮影 キャノン「PowerShot TX1」)

誰の膝にもすぐに乗っかるので、ちまたでは有名な猫になった「にーに」。乗りやすそうな膝があると、黙って乗っかってくる(2007年5月撮影 キャノン「PowerShot TX1」)

 公園のあずまや近辺でよくうろうろしてて、そこの椅子に誰かが座ると、誰彼なくその膝に乗ろうとするのである。老若男女関係なくである。猫は普通子供を嫌うのだが、彼は子供の膝にすら乗っていたくらい。

 冬の寒い日は膝では飽きたらず、服の中に顔を突っ込んで暖をとる始末。時にはほかの猫と膝を奪い合い、狭いところに2匹で無理矢理乗っかって毛づくろいを始める始末。

寒い季節に上着のファスナーが開いてると、顔を強引に突っ込んでくるのだ。のっかられてるこっちも暖かいのでよし(2007年3月撮影 ニコン「COOLPIX S10」)

寒い季節に上着のファスナーが開いてると、顔を強引に突っ込んでくるのだ。乗っかられてるこっちも暖かいのでよし(2007年3月撮影 ニコン「COOLPIX S10」)

時には無理矢理2匹で膝に乗っかることも(2008年3月撮影 富士フイルム「FinePix F100fd」)

時には無理矢理2匹で膝に乗っかることも(2008年3月撮影 富士フイルム「FinePix F100fd」)

 いくら小さいころ人に飼われていた(と思われる)とはいえ、こんな猫は珍しい。最初は人なつっこくても、世間の荒波にさらされてすさんでいく猫も多いのに。彼の兄弟猫も、さすがにここまでなつっこくはないもの。だからみんなに可愛がられてた。

 人が近寄っても逃げないし、ほかの猫とも仲が良く、ラブリーなシーンを見せてくれるしで、被写体としてもとても重宝していたのである。

他の猫とも仲良しで、よくこんなふうにべったり。ちなみにこの右側の猫は病気で死んじゃいました。残念(2006年10月撮影 キャノン「PowerShot G7」)

他の猫とも仲良しで、よくこんなふうにべったり。ちなみにこの右側の猫は病気で死んじゃいました。残念(2006年10月撮影 キャノン「PowerShot G7」)

 で、彼らが現れて3年になろうというころ、「飼い猫が死んでしまって寂しいので代わりになる猫が欲しい」というおばあさんが現われた。このあたりは、公園でよく一緒になる猫好きさんがメールで教えてくれた話。

 いまさら子猫から育てるのは大変なので、老後の友になってくれるいい猫がいれば連れて帰りたい、ということで、公園まで「お見合いに来た」のである。

 その場に立ち会った人によると、当初目を付けていたほかの猫がなかなかなつこうとしなかった矢先、この「にーに」がいつものようにのほほんとやってきて、おばあさんの膝の上にぴょこんと乗っかったのである。

 もう即決。もってきた猫用のケージにも嫌がることなくおとなしく入れられ、もらわれていったそうである。

 その後、公園に戻ってこないところをみると、暖かい部屋やおばあさんの膝の上で冬を過ごしているのだろう。 よかったよかった。

最後に撮った写真。これを撮った1ヵ月後にもらわれていきました(2008年11月撮影 パナソニック「DMC-G1」)

最後に撮った写真。これを撮った1ヵ月後にもらわれていきました(2008年11月撮影 パナソニック「DMC-G1」)

 で、そんなこんなで、ここの猫は去勢済みなので増えることはなく、減る一方のはずなのだが、それでも年に1~2匹は見知らぬ顔が追加されてる。野良猫が長旅の末に住みやすい公園にたどり着く、なんてまずないので、おそらくどこかの誰かがこっそり捨てちゃうのである。ああもう。

筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走り回りながら面白いものを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)。密かにネコ動画ポッドキャストも更新中。



*次回は12月17日掲載予定

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