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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第43回

常識を覆した!? オトナ端末「URBANO」

2008年10月16日 15時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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URBANOの発表会見には「オトナ代表」として、パンツェッタ・ジローラモさんが登場。ちょいワルオヤジも取り込む魅力があるようだ

新たなアプローチが生み出すユニバーサルデザイン

 オトナがケータイの機能を使いやすく存分に楽しむ。そんなURBANOの1つのテーマは、シニア層が使いこなせていないメディア系のサービスを、いかに分かりやすく使ってもらうかという点だ。「実際、ケータイの高機能を使いたいという要望はありますが、今までの端末では対応し切れていないのが現状」とau市場開発部の加本泰浩氏は指摘する。

 前述した通り、簡単ケータイを選ぶと機能が制限されているし、高機能ケータイは若者向けに作られていて操作が複雑。そこでURBANOではアプリの文字の視認性や、メニューの数を見直していく。使い勝手の改善だけなら、今までの端末でも対処できた課題だったかもしれない。ただ、ここから先が「トータルコーディネート」ならではの対応になる。

 「高機能を活用してもらうにはメニューの使いやすさ、簡単さも重要ですが、目的性を持たせて使ってもらうことも考えるべきです。そこでURBANOでは、健康と旅行という切り口から、ケータイの高機能を活用してもらおうと考えました」(加本氏)

 年齢を重ねていくと、健康というテーマは大きな関心事となっていく。旅行もまた、若い頃とは違った楽しみ方が生まれてくる。そんなライフスタイルの中のストーリーとすりあわせて、ケータイの高機能な部分――特にメディア関係――に触れてもらうようにしているのだ。

 例えばサブ液晶からすぐにアクセスできる歩数計や、ゴルフコースでピンまでの距離を概算するゴルフスコープは、加速度センサーやカメラを活用した機能だ。また、ワンセグ視聴時にも自動的に縦横に表示を切り替えてくれる機能も分かりやすい。直感的な操作を緩やかに活用する味付けもうまい。

歩数計を表示した画面。メタボ改善にもつながる?

カメラ機能を活かして、ゴルフのピンまでの距離を図ることができる「ゴルフスコープ」機能

 「コアターゲットは50代ですが、若い人に受け入れてもらえるとも思っていました。今までのシニア向け端末は、我々の押し付けだったのではないか。機能が多過ぎて使えないというユーザーに対して、いかに敷居を低くするかを考えると、新しいテクノロジーを、くすぐりを入れながら紹介することが大切なのです」(加本氏)

 アダルト向けのケータイと言いながら、テンキーの押し心地や加速度センサーのうまい活用などによって、結果的にワカモノにも使いやすい端末に仕上がっている。

 URBANOというユニバーサルデザインのケータイを世の中に送り出したau市場開発部の、ケータイデザインの転換点となった一コマであった。

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