WWDC総括 その1に引き続き、その2ではiPhoneが日本のケータイ業界に与えるもの、業界がすべきこと、米グーグルの「Android」を含む今後の業界動向を、ジャーナリストの林信行氏に話を聞いた。
過去のiPhone記事
・iPhoneは大きな森を生み出す「最初の木」(前編、中編、後編)
・なぜiPhoneは人々を熱狂させるのか?(前編、中編、後編)
・林信行に聞く、iPhone日本発売はいつ?(記事)
・WWDC 2008総括(前編)
真のライバルは、イー・モバイルやウィルコム?
── iPhone 3Gの発表を受けて、日本のケータイ業界は何をすべきだと思われましたか?
林 「おサイフケータイ」機能を作っているFelicaの方には、ぜひアップルを説得して、iPhoneを媒介に海外進出してほしいですね。日本に帰ってきたあと、電車の中でiPhoneでメールを読んでいたので、ついそのままiPhoneで改札を出ようとしてしまいました(苦笑)。
もちろん、iPhoneにカバーをつけて、その中にオートチャージのPASMOをいれておけば、それで済む部分もあるけれど、それでは携帯からチャージができない。こうした機能がないこともあり、日本ではiPhoneを「2台目需要」として見る向きも強いと思うんですよ。
つまり、ソフトバンクがiPhoneを発売しても、ダメージを受けるのはドコモやKDDIではなく、イー・モバイルやウィルコムということです。
私は米国にいたので行けませんでしたが、6月10日に行なわれたイー・モバイルの製品発表会で、千本社長が「iPhoneの独壇場の時代は終わった」といった、iPhoneを意識した発言を出していたのは、そのあたりを認識しているからじゃないんでしょうか。日本における「データ通信主体の2台目のケータイ」という市場は、イー・モバイルが作ってきましたからね。
私も、今は「EM-ONE」に「WMWifiRouter」というソフトをインストールし、持ち歩き可能な無線LANルーターにして、iPhoneをインターネットにつないでいます。しかし、iPhoneが直接インターネットにつながるようになったら、EM-ONEをどうしようか考えてしまいます。
仕事柄、デジカメから取り込んだ写真をパソコンから送りたいといった需要があるので、イー・モバイルをやめることはないと思いますが、使う機会はグッっと減ってしまいそうです。そういう意味では、イー・モバイルのような会社がiPhoneに一方的にやられないように、日本の端末メーカーにも頑張って欲しいと願っています。
もちろん、EM-ONEや、その他のスマートフォンが使いにくい理由の半分はOSにあるわけで、その点は何ともしがたいところですが、今年の後半にはグーグルの「Android」も出てきます。