ベスト・オブ・ワンセグケータイのP905i
さて、今回のテーマであるP905iは、僕がワンセグケータイに対して抱いていた不満をほぼ解消してくれた。
まず画質については、「モバイルPEAKSプロセッサー」を搭載することで対処している。
ワンセグ放送を拡大する際、映像にシャープネスをかけたり、ノイズを低減させることで、ほかの高解像度/大画面を備えるワンセグケータイより、くっきりとした画質が得られる。この効果はかなり実感できた。搭載している高コントラストの液晶ディスプレーも濃い色でキレイさを感じられる。
訂正とお詫び:記事掲載時、モバイルPEAKSプロセッサーの説明に一部誤った記述があったため、当該箇所の削除を行ないました。訂正してお詫びいたします。(12月8日)
また音声では、高音質化技術「リ.マスター」が光る。ワンセグで気になっていた「シャリシャリ」音もキレイにクリーニングされており、キレイに見える映像と相まって、今までにないワンセグ体験をさせてくれる。ちなみにリ.マスター機能は、着うたフルなどの音声再生にも適用できる。
電池の問題に対しても、「ecoモード」で約6時間のワンセグ視聴という長寿命をうたっているので、気にせず朝の通勤からワンセグを見られるだろう。
画面角度の調節も楽な「Wオープン」
そして「Wオープンスタイル」である。
P905iはパナソニック・モバイル端末のお家芸である「ワンプッシュ・オープン」を採用していて、折りたたみ端末ながら開閉をスマートにこなすことができる。普通にワンプッシュ・オープンするだけなら単なる折りたたみ端末と何ら変わらないが、さらにこのディスプレーは横にも開けるWオープンスタイルを採用しているのだ。
折りたたんだ状態でワンプッシュ・オープンボタンのすぐ近くに「OPEN」という別のスライドスイッチがある。これをスライドさせると、ディスプレーを横長の状態で開けるのだ。これは非常にスマートなやり方だろう。
横長に開いた瞬間、「VIERAケータイ」の文字が表示されて、すぐにワンセグ視聴が始まる。
机の上に置いていても、しっかりと安定しているのがうれしい。ディスプレー角度の調整も適度な抵抗感があって、自由な位置で止められる。しかも横向きなら、ちょうどニンテンドーDSを構えるように両手でホールドできて、電車の中でワンセグを見るときにもスマートだ。
こんな素晴らしいギミックがありながら、ワンプッシュ・オープンをしてもふらふら、かたかたしない剛性感の高さに、このケータイの開発者の気合いを感じられる。
映像を見るための端末のスタイル、ディスプレーのキレイさ、それを支えるテクノロジー。これらを追求しているからこそ、P905iにパナソニックの薄型大画面テレビのブランドである「VIERA」の称号が与えられているのである。
将来的にはチップの小型化や消費電力に呼応するように、カーナビでフルセグが映るように、ケータイでもフルセグが映るようになる時代が到来するだろう。そうでなければ、高解像度化されたこの美しいディスプレー技術が浮かばれないというものだ。
今、もしVIERAケータイのパフォーマンスを最大限に引き出したければ、microSDHCメモリカードに、高解像度のWindows Mediaビデオを保存して再生してみるといいだろう。これは905iシリーズの中でP905iが唯一可能な、大画面で高画質を楽しむ方法なのである。
ちょっと未来を先取りしながら、手のひらのケータイで高解像度のビデオを持ち歩く時代のことを想像してみると、映像が持つ価値や意味というモノ、そして想像力のふくらみ方、メッセージのビビッドさといった、さまざまな要素が劇的に変わってしまうのではないだろうか。
P905iのこだわりには、そんな未来像が集約されているのである。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。自身のブログはTAROSITE.NET。
*次回は12月13日掲載予定
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