英海軍フリゲート艦
「モンマス」
まずは「モンマス」から見ていこう。正式名称はHMS Monmouth。このHMSとは「Her Majesty's Ship」(女王陛下の艦の意)、あるいは「His Majesty's Ship」(国王陛下の艦の意)の略だ。英海軍も正式名称はRoyal Navyで王室海軍となる。伝統を感じさせる重厚な名称だ。
英海軍フリゲート艦「モンマス」。基準排水量3,600トン。全長133メートル。乗員185名。主砲114ミリ速射砲1基など。ヘリコプター1機搭載。1991年11月就役で、同型艦は16隻(※画像は英海軍のウェブサイトより転載)
この「モンマス」、Type23と呼ばれる最新鋭のフリゲート艦だ。別名デューク級とも呼ばれ、艦名は1600年代英国のモンマス公爵に由来。日本で言えば戦国大名の家名を艦名に付けているようなものか。なお英海軍における「モンマス」という艦名は七代目とのことだ。ちなみに海上自衛隊では艦名の襲名は四代目が最高だったかと。さすが歴史ある英海軍というところか。
英海軍ウェブサイトの「モンマス」を紹介したページ(リンク)は、もちろん全部英語だが、来歴、艦長の紹介、写真集などサービス満点だ。納税者に対する告知、ということを考えれば、このくらいやらないとね。そのニュースのページ(リンク)には、「Sayonara to the Far East」と称して、今回の日本来航について画像と記事がアップされている。いやあ、ほんと広報活動はかなり積極的ですな。
主砲や艦橋などを艦前方から見たところ
主砲。ステルス対応で独特の形状をしている
艦名と紋章が描かれた乗艦用ラッタル。艦それぞれに紋章があるあたり、さすが大英帝国海軍の末裔だ
艦内で掲示されていた「モンマス」の艦名銘板。右舷ラッタルを登ったところと、艦上中央部2ヵ所で見かけた
メインマスト。ホワイトエンサイン(イギリス海軍旗)ははためいている
艦橋後部。メインマストは後方が黒く塗装されている
このマストは柱型マストと呼ばれ、従来のラティスマストに比べ、レーダー反射をより抑えることが出来ると言うことで各国海軍で続々と採用されている形式だ。なお、ラティスマストを採用している艦艇としては、今回のホストシップである護衛艦「まきなみ」、および豪フリゲート艦「パース」が該当する。メリットとしては柱型マストより軽量化出来る、ということらしいが、最近では海自の護衛艦でも柱型マストが採用されていることを考えれば、時代遅れの形式なのかもしれない。
寄港地を記念した盾。世界各地の港の名前が記されている
ブリッジ脇から艦前方方向。シーウルフ短距離艦対空ミサイルVLSと主砲が見える
右舷サーチライト
フレア発射装置
右舷20mm機関銃。このような攻撃力が弱い小型の火器は、臨検時などに使われることが多い。ちなみにこの銃、特に固定されていなかったので、左右に自在に動かすことができた
左舷30mm機関砲(写真下中央)と煙突、そして衛星通信用アンテナ(卵形のパーツ)
左舷30mm機関砲。これも対空、対艦近接戦闘用だ。ただ、写真を見ると分かるが、本機関銃も手動操作のため、高速で接近する航空機やミサイルの迎撃には不向きと言われる。
隣に停泊した「パース」より望んだ「モンマス」左舷側。ブリッジ周辺の構造がよく分かる。公開していない側なのでサーチライト、20mm機関銃等は防水布で覆われている。フレア発射装置は布に覆われていないのでよく見える
宣伝用立て看。勇ましい感じだが新兵募集用なのだろうか? それにしても、ここ日本で新兵募集とは……
艦載ヘリ・リンクスHAS-3ヘリコプターとパイロット。ヘリの機首部分にはロボットらしいシルエットのマーキングが。伝統ある英海軍のマーキングにも日本のアニメの影響が?
テールローター部分が折れ曲がっている。狭い艦にも収容出来るようにするための工夫なのだろう
整備兵がテールローターを点検している
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