藤田清人さん(30)
ソニー株式会社
VAIO事業本部 3部1課
パソコンはハードディスクやCPU、メモリー、ディスプレイ、外装といったさまざまな部品が組み合わさって作られている。各メーカーで部品の1つ1つが作られて、最終的にセットメーカーで組み立てられて製品となる。藤田清人さんは家電メーカーの半導体部門からセットメーカーであるソニーへ転職し、現在はノートパソコンのVAIOを手がけている。そんな藤田さんに大手セットメーカーへの転職について、また仕事術について聞いた。
開発の理想へ近づくために
藤田さんは大学卒業後、原子構造や材質など物の性質を研究をするために大学院へ進んだ。そこで、藤田さんは家電メーカーと共同してシリコンなどの半導体材料の研究開発を行なっていく。その後、大学院の2年間で修士号を取得した藤田さんは、共同開発をしていた家電メーカーに就職した。液晶表示部に関わる半導体の研究開発は、大学からやってきた得意分野ではあったが、勤めて1年ほどするうちに、興味が個々の部品から製品に移行していった。
「半導体開発の仕事をしているうちに、自分が開発したものがどこの会社に行き、部品としてどのように組み込まれて、最終的にどんな製品になっていくのかが見えてきます。半導体は多種多様な会社のさまざまな製品に組み込まれて世の中に出て行きます。そのこと自体はとてもうれしいことなのですが、後々に完成品を見ると開発意図とは異なった使われ方をしていることがよくあります。私はその度に『こういう意図で作ったのに』とか『こう使ってくれたらもっと魅力的な製品になるのに』と思っていました。そこで、部品個々の特徴を的確に生かして、より消費者にとって魅力的な製品を開発できる立場──セットメーカー(注1)での仕事に興味を持つようになっていきました」
注1:セットメーカー
セットメーカーとは、必要な部品を供給する企業に対し、最終製品の開発・販売を行なう企業のこという。
藤田さんは在籍から1年半経ったころに転職を決意。転職先として希望したセットメーカーはソニーだった。数多くあるメーカーの中で、なぜソニーを選んだのか。
「自分が愛用しているパソコンがVAIOだったということもあります。でも最大の理由は、『お客さんが買ったときに、ワクワク感やドキドキ感、驚きが得られる製品』を実現できるメーカーがソニーだと思ったからです。なので、転職先をソニーにしぼり、受かるまで何度でも求人に応募するつもりでした」
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