好きなサービスを組み合わせて使える
このようにウェブ上には、既にSNSの構成要素に該当するオープンなサービスがいくらでも存在しており、これらを組み合わせることでも一応、mixiと同等の機能をひととおり提供できる。
もちろん、ただ組み合わせただけでは、mixiのような楽しく、快適な体験は生み出せない。だが、今後、こうしたオープンなウェブサービスをうまくmixi的にまとめあげたマッシュアップのサービスがでてくることはあるかもしれない。
オープンなサービスをマッシュアップすることの強みは、機能をカスタマイズできる点だ。例えばブログ(日記)機能のベースを提供しているウェブサービスが機能の進化が遅くて、サーバーの反応が悪くなってきたとしよう。そうしたらマッシュアップ・サービス(寄せ集めサービス)側で、ブログを別サービスに置き換えてくれればいい。マッシュアップ型SNSは、別の見方をすれば各機能の置き換えが可能なコンポーネント型SNSでもある。
盛り上がるプロフィール関連のサービス
もっとも、いくらイノベーションが起きても、入れ替えがしにくい部分が、すべてを束ねるプロフィールページだろう。最近、各社がこの部分に力を入れるのは、そんな思惑があってのことかもしれない。
米国では、さらに数歩先を行っていて、こうしたプロフィール情報を使って、友達や仕事の人材を捜すサービスに注目が移りつつある。4月初めに開催されたウェブサービス関連のイベント“Web2.0 Expo”では、“SPOCK”という検索エンジンが脚光を浴びたが、これも“人検索”のサービスだ。
同社は“人検索”が、Googleによる情報検索、Amazonによる商品検索に続く、第3の大型検索カテゴリーとして今後、重視されると力説している。
一方、筆者が現在のプロフィール系サービスに期待しているのが、交友関係の情報の取り扱いだ。既にこれを実施しているサービスもあるが、XML/RDFを使った自己紹介データを作成する“FOAF”など、よりオープンでスタンダードなものを採用したサービスの方が、他サービスとの連携もしやすくて今後の伸びも期待できるだろう。
ブログがSNSに歩み寄る一方で、閉じたSNSサービスだけでは限界があると思ってか、旧来のSNSがオープン化に向かうという動きもある。最近では、米国の人気SNS“Facebook”が、自社の閉じたSNS内だけのプロフィールではなく、ブログなどのオープンなコミュニティー向けのプロフィールを提供し始めた。
いずれにしてもブログとSNSのサービス内容は今後も急接近を続けそうだ。
筆者紹介─林信行
フリーランスITジャーナリスト。ITビジネス動向から工業デザイン、インタラクションデザインなど多彩な分野の記事を執筆。『MACPOWER』『MacPeople』のアドバイザーを経て、現在、日本および海外の媒体にて記事を執筆中。マイクロソフト(株)の公式サイトで執筆中の連載“Apple's Eye”で有名。自身のブログ“nobilog2”も更新中。オーウェン・リンツメイヤーとの共著で(株)アスペクト刊の『アップルコンフィデンシャル(上)(下)』も発売中。
*次回は5月11日掲載予定
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