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VRおじさんの「週刊VRかわら版」第2回

ぜひナンパして布教してほしい!?

ここがスゴい&ツラいよ「HTC Vive」! Oculus Rift&PS VRとの違いを知ろう

2016年04月10日 10時00分更新

文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

4月4日(日本時間の4月5日)に出荷を開始したPC向けVRヘッドマウントディスプレー「HTC Vive」

 どもども! VRおじさんことPANORAの広田です。先週取り上げた「Oculus Rift」に続き、今週は4月4日(日本時間の4月5日)に出荷を迎えたPC向けVRヘッドマウントディスプレーの「HTC Vive」(ヴァイヴ)についてピックアップしていきましょう。

VRのハードは「世はまさに戦国時代」状態!

 VRヘッドマウントディスプレーのハードは、「世はまさに戦国時代」な様相を呈しています。その種類も様々で、PCやゲーム機につないで使う据え置き型、スマートフォンを差し込んで使うモバイル型、さらにオールインワンな一体型と、大きく3種類に分けられます。

 その中で、最も高く「映像の中に入ってる!」という感覚を引き出してくれるのが、据え置き型。PCやゲーム機の高い処理能力を使ってよりキレイなグラフィックを実現できたり、ハンドコントローラーで手や道具を再現してバーチャル空間の中のものに触れたりできるのが大きな特徴ですね。

 主な機種は、Oculus Rift、PlayStation 4向けの「PlayStation VR」、そして今回のHTC Viveという3つ。どれかが飛び抜けて売れている(PS VRは10月発売ですが)訳ではなく、まだ三国志のように拮抗している状況です。

3月28日に出荷を開始、でもちょっと遅れ気味のOculus Rift
10月発売予定のPlayStation VR

目と耳だけじゃない! 体感できるVR

 さて、HTC Viveですが、米Valveの「SteamVR」というVRプラットフォームに基づいている製品で、台湾のHTCが開発&製造しています。昨年3月に突如発表されて2015年年内に出荷される予定でしたが時期がずれ込み、2月末にプレオーダーを始めて、今回晴れて出荷されたという流れです。例によって筆者も初日にプレオーダーしたのですが、まだ届いていない……。ともあれ最大の特徴は以下の3つ!

1.歩ける!

 「ルームスケール」をうたっていて、VRヘッドマウントディスプレーをつけたまま最大で5×5mの場所の中を歩けます。一見、危なそうですが、最初に設定した範囲を越えようとすると、格子状の壁が現れて「ここから先に行ってはいけない!」と警告してくれるので安全です。もちろん何かにつまづかないように部屋は片付ける必要がありますが……。

 このゲームパッドの十字キーで視界だけ動くのではなく、自分が動けるというのは、かなりの驚きを引き起こしてくれます。多くの人にとってはVRヘッドマウントディスプレーをかぶって360度を自分の目で見られるというだけでも新鮮なのに、さらに自分の足も使えるのです。例えば、落ちている武器に近づいて拾ったり、キャラクターに近づいたりすることが自然に行えます。

海でクラゲとユラユラできるtheBlu

 HTC Viveのイベントでよく使われる「theBlu」というデモでは、海底に沈んだ難破船の上を移動して気になるアイテムを拾ったり、船の縁まで行って海底をのぞいたり、泳いでくるクジラのそばまで歩いていって目を見つめたりといった体験を実現してくれます。

2.触れる!

 HTC Viveには、ハンドコントローラーが付属しています。先の「歩ける!」以上に、「触れる!」というのは強烈な新しさを体験者に与えてくれます。例えば、「Job Simulator」という職業シミュレーターゲームでは、コーヒーカップを握ったり、ドーナツをつかんで食べたり、マウスを握って動かしたりと、周囲にあるものの多くをつかんで自由に動かせてしまうのが気持ちいいです。

 実は先に出荷されたOculus Riftにも「Oculus Touch」というハンドコントローラーが用意されていますが、こちらは別売で出荷は2016年の下半期。PS VRの出荷が10月なので、HTC Viveはコントローラーが標準搭載されたVRヘッドマウントディスプレーと少なくとも2〜6ヵ月は先行して発売されている訳です。

 ここ数ヵ月では、第2世代の開発キットである「HTC Vive Pre」を、2月の開発者向けイベント「Vision VR/AR Summit」に集まった1500名ほどの参加者に無償配布するなど、クリエイターの巻き込みにも力を入れています。初音ミクもインディーゲームもそうでしたが、作り手側が多ければ多いほど、さまざまな実験がなされて面白い使い方が発見される可能性が上がりますよね。

3.ダウンロードストアの「Steam」がある

 SteamVRを手がけるValveは、PCゲーマーな方々が愛用している「Steam」というプラットフォームを有しています。アプリを購入/ダウンロード/管理するだけでなく、フレンドリスト機能なども備えていますね。Oculusにも「Oculus Home」、PS VRにも「PlayStation Store」があるので条件は同じですが、SteamでPCゲームをいっぱい買っている方なら一括管理するためにHTC Viveを選ぶのもアリかも?

日本の住宅事情との相性が悪い

 「歩いて、触れる」というメリットはかなり強大ですが、残念ながら実際に体験してみるとデメリットもあったりします。

1.部屋の広さが足りない(主に日本)

。・゚・(ノД`)・゚・。

 最大で5×5m、つまり25m2という広さは、京間の畳で約13.7畳になるそうです(Google先生調べ)。ブルジョアか! 一応、最小でも1.5×2m(約3.3畳)を確保しておけばいいワケですが、マンションやアパート在住、特に一人暮らしだとそんな無駄な空間はなかったりしますよね。

HTC Viveを満喫するなら最小でも1.5×2m、最大で5×5mのスペースが必要!

 あまりに狭すぎると、歩き回るのをウリにするコンテンツによっては体験できなさそうなものも出てきそうです。「Aperture Robot Repair」というデモでは、最初に壁に歩いていき引き出しを引くというアクションを取る必要がありますが、筆者が最小領域でセットアップして遊んだ際には、先の格子状の壁が現れて引き出しまで手が届きませんでした。

 狭い住宅を考慮してか、HTC Viveには座ったり、その場で立って遊ぶための設定もありますが、「歩ける」という最大のメリットが狭まってしまうのはちょっと残念です。

2.セッティングや運用が面倒くさい

 飛び抜けていいVR体験のためには、準備もかかるもの。HTC Viveでは「ルームスケール」を実現するために、2基のベースステーションを壁などに据えつけて、高い位置で対角線上に並べる必要があります。賃貸などで壁に穴を開けるのはキビしいので、三脚を使ったり家具に据え付けることになるでしょう。

HTC Viveにはコントローラーのほかに、位置情報を検知するベースステーションが付属する

 さらにコンセントを多く消費します。先のベースステーションで2個ずつ、HMDとPCをつなぐリンクボックスで1個、左右のViveコントローラーを充電するためにUSB端子が2つ、それぞれ必要になります(もちろんPCとディスプレー電源も)。

 運用面では、バーチャル空間をフリーダムに歩き回っていると、ケーブルがからまる可能性が高くなるという点。展示会などでは、快適に遊べるようにケーブルサポートのために展示員を1人つけることもありますが、ご家庭では自分で気をつけて歩く必要がありそうです。

3.高い

 HTC Viveは、手に持つモーションコントローラーが2基付きで11万1999円。Oculus Riftは、Xbox oneコントローラーとリモコンの「Oculus Remote」がついて8万3800円。PS VRは4万4980円だが、動作に必須な「PlayStation Camera」(売価で5800円ほど)も、モーションコントローラーの「PlayStation Move」(売価で4100円ほど×2)も別売だ。

 Oculus Touchも含めるとOculus Riftのほうが高くなりそうですが、現時点では手に入れるのに最もお金がかかるのは、見え方が損かもれしれませんね。



 というわけでメリット・デメリットを3つずつ並べてみましたが、HTC Viveの特徴がおわかいただけましたでしょうか? 提供してくれるVR体験自体はスゴいのでぜひ多くの人にかぶって欲しいのですが、部屋のサイズも含めてセットアップなどが難しいし、価格も10万オーバーなので心理的に勧めにくいものがあります。

 もし製品版をゲットして、広い部屋をお持ちの方なら、「俺んちくる? HTC Viveあるぜ」と、ぜひナンパして布教してほしいものです。釣れるのはガジェット大好きおじさんばかりかもしれませんが……。


広田 稔(VRおじさん)

 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。


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