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今夏の参院選からインターネットを使った選挙戦が始まる

ネット選挙は期待ほど盛り上がらない!?

2013年04月27日 07時00分更新

文● 佐藤正生/アスキークラウド編集部

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残る課題は電子メールの第三者利用

 ネットを使った選挙運動は、無党派層の囲い込みに有効なツールだ。しかし、組織票の強い政党にとってメリットが感じられないことや、誹謗中傷を拡散する手段にもなる。さらに、政治家のネットリテラシーの有無が選挙結果に影響する恐れもあれば、解禁に後ろ向きだったのは想像に難くない。ネットの反応と得票数との関係をどう読むのか見極められなかったことが、ネット選挙運動解禁を遅らせた本当の理由ではないだろうか。

 今回の改正公職選挙法で残された課題もある。電子メールの利用が政党と候補者に限定されたことだ。ネット選挙解禁を巡っては、電子メールを使用する対象者の範囲をどこまで認めるのかで、各党で意見が分かれていた。第三者によるメールの利用は、誹謗中傷やなりすましに悪用されやすいこと、ウイルスを含んだ悪質メールにより有権者に過度な負担がかかる恐れなどを理由に今回は見送られたが、今夏の参院選終了後、改めて検討される。


ネット選挙運動は候補者にとってデメリット!?

 インターネットを使った選挙運動のメリットは、選挙期間中でも有権者に対して情報をタイムリーに発信できることや、双方向性を生かし政策を深く知ってもらえることだ。しかし、フォロワー数の多寡で選挙が左右されるとは思えないし、無党派層が一気に動くことも考えにくい。ネットはあくまでも政策を分かりやすく伝えるツールの一つにすぎず、候補者の不用意な発言によっては得票数を減らす原因にもなる。

 ネットを使った政治活動に力を入れているある中堅議員は「法定選挙費用の範囲内でネット選挙に費やせる金額は少ない。そもそも業者丸投げはありえない」という。公職選挙法では、電話で投票を呼びかけたり、街頭でビラを配ったりする人たちを「選挙運動員」といい、ウグイス嬢や手話通訳といった一部の選挙運動員以外に対して報酬を支払うことが買収に当たるため禁止されている。インターネットを使った選挙運動の場合も同じで、ホームページの更新や、SNSのメンテナンスも全て選挙運動員によるボランティアで行われる。

 ここ数カ月高騰しているネット選挙銘柄は、市場調査やデータ解析など、あくまでも選挙運動の周辺をサポートしてくれる企業で、候補者が必要としている、「現場で手伝ってくれる人たち」ではない。日常的にネットを使いこなしている候補者以外は、選挙活動中に街頭演説をしながら小まめに有権者とコミュニケーションを取れるのか疑問だ。ネット選挙は満を持しての登場したものの、実際使ってみたら、多くの候補者が「やはり活用できなかった」とならなければいいのだが。


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