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今夏の参院選からインターネットを使った選挙戦が始まる

ネット選挙は期待ほど盛り上がらない!?

2013年04月27日 07時00分更新

佐藤正生/アスキークラウド編集部

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eElection

photo by Dick Thomas Johnson

 

 株式市場ではここ数カ月、「ネット選挙銘柄」が急騰している。この1年の株価の変動をみると、日経平均株価の1.6倍に対し、パイプドビッツは14.0倍、ドワンゴは4.7倍、クロス・マーケティングは4.5倍といずれも高い水準を維持している。

主なネット選挙銘柄
企業名 概要
パイプドビッツ ネットを活用したデータ管理とマーケティングなどを手掛ける
クロス・マーケティング インターネットを使った市場調査会社
ドワンゴ ニコニコ動画を運営。ネット党首討論会も開催
マクロミル インターネットを使った市場調査会社
サイバーエージェント 「Ameba政治家ブログ」の拡充を発表

 インターネットを使った選挙運動がついに解禁される。去る4月19日、ネットを使った選挙運動を解禁する改正公職選挙法が成立した。今夏の参議院選挙から選挙期間中にFacebookやTwitterをはじめ、選挙運動にさまざまなネットサービスを利用できる。LINEはネット選挙運動解禁を受けて、全政党を対象にLINEの公式アカウントを提供すると表明。公明党すでにLINE公式アカウント「@komei」を開設している。

 投資情報サイト「株式投資の羅針盤」を運営しているArgo Navis(旧ピクシスリサーチ)の清水洋介代表取締役は、「ネット選挙が解禁になれば、どの媒体が選挙ツールとして使われるのかが注目される」とし、ミクシィやグリーをはじめとしたSNS運営会社、間接的には米ツイッター社と資本・業務提携をしているデジタルガレージなどの株価上昇が期待されるという。


「文書図画」の高いハードル

 そもそもなぜ、今まで選挙期間中に候補者がホームページを更新したり、ブログで投票を呼びかけたりしてはいけなかったのだろうか。その理由は、「文書図画」による選挙運動が、公職選挙法によって厳しく制限されていることにあった。

 文書図画とは、テキストや記号、写真などが記載されたものを指しており、配布できる種類や枚数が決められている。これは、資金にゆとりのある候補者がたくさんの印刷物を配り、経済力によって選挙が有利にならないように公平性を確保するためだ。

 例えば、参院選(比例代表)では候補者1人につき、はがき15万枚、ビラ25万枚、ポスター7万枚と規定されており、それ以外の文書図画は配布できない。目で見て受け取ることができる表現形式全般が対象になることから、パソコンやスマートフォンなどのモニターに表示されたものも、文書図画と解釈される。そのため、インターネットを使った選挙運動は、現行の公職選挙法では違反になると考えられていた。昨年12月に行われた衆院選では、インターネットを使った選挙運動による検挙こそなかったものの、警告については前回(’09年)の衆院選よりも増加したという。

 一方、海外のネット選挙運動の状況を見ると、アメリカ、イギリス、ドイツでは、選挙期間中のホームページの更新や電子メールの利用は原則自由。フランスは、投票日の前日と当日に限り禁止されている。また、韓国では第三者のホームページの利用は制限されているものの、候補者による利用は原則自由だ。

各国のネット選挙運動のスタンス
国名 ウェブページの利用 電子メールの利用
日本 ×:選挙運動期間中は禁止 ×:選挙運動期間中は禁止
米国 ○:原則自由 ○:原則自由
英国 ○:原則自由 ○:原則自由
ドイツ ○:原則自由 ○:原則自由
フランス ○:原則自由(ただし、いくつか規制あり:投票前日の午前0時以降の更新は禁止/インターネット広告は一定期間禁止) ○:原則自由(ただし、いくつか規制あり:投票日当日の送信は禁止)
韓国 ○:候補者は原則自由(ただし、いくつか規制あり:虚偽事実の流布、中傷は禁止/第三者のホームページ利用は厳しく制限/第三者の掲示板書き込みは実名認証制) ○:候補者は原則自由(ただし、いくつか規制あり:受信者に拒否された場合、送信は不可/数字や文字を組み合わせて機械的にメールを送信するプログラムの使用禁止)
海外の状況を見ると日本が出遅れていることがわかる (出所)藤末健三事務所

 国立国会図書館がまとめた「諸外国のインターネット選挙運動」によると、アメリカでは'04年の大統領選挙からインターネットが選挙戦術として注目され、ブログを通じて資金を集めた例を挙げている。また、ホームページで自らの政策を広く訴えられると同時に、対立陣営に対する批判の媒体としても機能していたという。


(次ページに続く)

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