Haswellが抱えるダイサイズの問題
今回のCESで更新が一番なかったのがHaswellだ。今回の発表では
といった話が出ている。これに加えてHaswell世代でのUltrabookでは、タッチ対応が必須となるほか、WiDi(Intel Wireless Display)への対応も要件に入ることになった。ただこれはHaswellそのものとはあまり関係ないのでここでは割愛するが、そうなると2013年中旬以降に出荷という話が再確認された程度でしかない。
ここからはCES以降に聞こえてきた話をいくつか紹介しよう。まずHaswellの最初の出荷はやはり2013年6月前後になるようだ。OEMへの出荷はもう少し早いだろうが、OEMがそのHaswellを実装した製品を投入するのは、やはり6月になる見込みだ。順当に考えると今年6月のCOMPUTEXにあわせるのが一番妥当なタイミングであろうと思われる。
そのHaswellには、グラフィック構成がGT1/GT2/GT3の3種類が用意されるという話は昨年のIDFで既に発表されている。GT1がローエンド、GT3がハイエンドになり、特にGT3ではシェーダーがGT2のほぼ倍近くに拡張されている。このGT3はデスクトップ向けには用意されず、モバイル向けのみとなる模様だが、このGT1/GT2/GT3の型番がそれぞれIntel HD Graphics 4000/4600/5200になるという話があちこちで言われている。確かにGT1に関しては構成的にも性能的にも既存のIntel HD Graphics 4000に近いスペックであろうが、果たして同じ型番を当てるのかは疑問が残るところ。普通に考えれば4100とかそのあたりになるのではないかと予想する。
また、GT1/GT2は同一のダイだが、GT3は別のダイになるという話も出ているが、これは構成を考えれば極めてリーズナブルである。上の図はIvy BridgeとHaswellのGPU構造を示したものだが、HaswellのGT2はIvy Bridgeと比較してほぼ2倍のシェーダーが利用される。そしてGT3では3次キャッシュの容量が2倍、シェーダー全体が4倍という計算になる。Ivy Bridge世代のIntel HD 4000シリーズの場合、Shaderの数は16個とされており、もしHaswell世代でもこれが変わらないとなると、Shaderの数はGT3で64個に達することになる。
問題はダイサイズだ。上の画像はIvy Bridgeの内部構造を示したものだが、もしGPUのシェーダーサイズや3次キャッシュのサイズ、あるいはCPUコアのサイズが変わらないと仮定した場合、HaswellにおけるGT1/GT2のダイは下の画像のように横に伸びると思われる。
この場合のダイサイズは元のIvy Bridgeの13.7%増になる。Ivy Bridgeのダイサイズが160平方mmなので、HaswellのGT1/GT2は181.9平方mmほどになる計算だ。これは妥当なサイズである。問題はGT3。同じように3次キャッシュとシェーダーを増やすと下の画像のようになる。ダイサイズは58.7%増しの253.9平方mm。これは大きめである。いくらなんでもこのダイからシェーダーを無効化してGT1/2に転用するのは無駄が大きそうだ。
現実問題として、Haswell世代は3種類のコアをデスクトップ向けに展開すると考える。つまり4コア+GT3、4コア+GT1/2、2コア+GT1/2という構成だ。2コア+GT1/2の場合、ダイサイズは4コア+GT3のほぼ半分、130平方mm程度で収まるはずで、これはCeleronやPentium向けにも都合が良い。
逆にこの推定があっているとすると、デスクトップ向けにGT3を展開しない、という既存の話が矛盾する。モバイルでGT3を搭載する製品がどの程度出るかにもよるのだろうが、モバイル向けだけのために果たしてGT3用のコアを用意するのがコスト面で引き合うかどうかということだ。確かに競合となるTrinity/RichardのGPU性能に、GT3で追いつけるかというと微妙なところであり、その一方でTrinity/Richardの価格がかなり低いことを考えると、デスクトップ向けの製品展開は微妙な感じではある。このあたりは続報を待ちたいところだ。
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