最初は「組めない」と思った!?
堅牢・信頼をいかに実現するか
Duo 11の開発で最も重要な課題となったのは、ディスプレーをスライドさせる「Surf Slider」と名付けられた機構の信頼性だ。軽く快適に使えたうえで、頑丈さと長期に渡るの耐久性が必要になる。
鈴木(一)「まずはモックアップで、こういう機構が入っていない状態でいろいろと作ってみたのですが、『いいね』という意見と『異物感がありすぎる』という意見に分かれました。お客様から見ても『これは壊れやすいよね』と思われるだろう、という話は最初に出ました」
鈴木(一)「そこで、設計のリーダーとして機構担当に言ったのは、『開くだけでは到底ダメだ。品位をもって、かつ堅牢性をもったものでないと、お客様は怖くて買えない』ということでした。15万円という想定価格ですら、すでにPCとしては安い価格ではありません。我々は『PCの高級品を作っている』という意識でいますので、開いた瞬間に『これいいかも』と思っていただかないと、欲しいとは思っていただけないだろう、と考えたのです」
そして、そんな鈴木一也氏の「無茶ぶり」を受けたのが、ヒンジなどの機構設計を担当した木村泰典氏と、ソニーイーエムシーエス側で製造設計・生産設計を担当したスタッフである。
木村「最初に言われたのは『軽く、本当に軽く開くように』という点です。しかも『でも勝手に開かないように』と。軽く開くだけなら、バネを入れるだけで簡単にできます。しかし勝手に開かないようにするには、中のパーツのバランスが大変なんです」
鈴木(一)「携帯電話のように小さいものなら、いろいろと選択肢はあったんです。我々がすでに試作したものにもありました。しかし、これだけ首上(ディスプレー部分のこと)が重いものとなると、他になかったんですよね」
木村「このような構造だと弱そうに思われるのですが、通常のクラムシェルと同じだけの耐久性を想定しています。目指すところは同じです。ですから万全を期した設計を行なっています」
木村「詳しくは企業秘密ですが、ヒンジとしてはひとつのユニットなんですが、80点以上の部品で構成されています。特に動きに関わるのはバネで、これが軽く開くのに大きな効果を発揮しています。ヒンジの奥にあるカムが、開く力と閉じる力の両方を出すために使われています」
木村「内部にはダンパーも使われているのですが、これは油圧式になっていて、最後に『スーッ』と止まる感じを演出しています。これがないと『バンッ』と開いてしまうんですよね」
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