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COMPUTEX TAIPEI 2011レポ 第16回

2014年に100倍の性能!? 進化するTegraの秘密とは?

2011年06月02日 13時56分更新

文● 塩田紳二

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まとめ:Icera買収で今後も増える
Tegraスマートフォン

 Project Denverはモバイル機器向けのTegraとは直接関係せず、スーパーコンピューターのようなGPGPU用システムを作るためのものであるなら、なぜARMコアを採用するのか?

 これについてレイフィールド氏は、「システム全体の消費電力を下げることは、システム設計面でも、また顧客が過大な電力コストを負担しないためにも重要である。そのためにはARMが最適だ。GPGPUシステムでも汎用のプロセッサーは必要であり、そのためにARMを採用した」と言う。「NVIDIAにとってのARMプロセッサーは、ATIのGPUにおけるAMDプロセッサーと同じようなものなのか?」という問いに対して、レイフィールド氏は明確に「そのとおり」と答えた。

 GPUや各種プロセッサーなどを合わせたとしても、 「Tegra 2の100倍の性能を2014年までに達成する」というのは、少し過大な目標に思える。だが今回の取材を通じて、数字合わせの方法はともかく、大幅な高性能を達成することは困難ではないと感じた。

 WindowsがARMコアに対応し、Androidがタブレットなど多くのデバイス向けに進化していく過程で、ARMプロセッサーはTegraシリーズのように、大きく性能を向上させていくことになる。またGPUと組み合わせることで、ARMプロセッサーはスーパーコンピューター分野にも参入することになる。

 先にも述べたとおり、Tegraシリーズではベースバンドプロセッサーのメーカーを買収し、スマートフォンへの採用を広げる準備も整えている。例えば、ARM系プロセッサー「Snapdragon」で先に動作周波数1GHzを達成したクアルコムは、もともとは2G/3Gのベースバンドチップを含む、携帯電話向けデバイスメーカーだった。それがAndroid 2.0系列でグーグルのスマートフォン「Nexus One」に採用されるなど、スマートフォンでは大きなシェアを占める成長を実現した。

 これに対して、GPUメーカーだったNVIDIAは独自のベースバンドプロセッサーを持たず、機器ベンダーがTegraでスマートフォンを構成するには、別のベースバンドプロセッサーと組み合わせる必要があった。しかしIcera社の買収により、Tegraにベースバンドプロセッサーを統合することも可能になった。これは、筐体の小さなスマートフォンでの採用を広げるには、避けて通れないことだった。

 ARMプロセッサーを取り込んだことで、NVIDIAはGPUメーカーから、SoCプロセッサーのメーカーに変貌しつつある。今後のTegraの動向には注目しておくべきだろう。


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