バッテリー駆動時間も良好
一般的な稼働時間は5時間程度か
AMD E-350のTDPは18Wで、インテルのAtom 330(1.60GHz、TDP 8W)やAtom D525(1.80GHz、TDP 13W)と比較すれば大きい。だが、E-350はDirectX 11対応のGPU「Radeon HD 6310」を内蔵していながら、この消費電力で済んでいる。dm1-3000は6セル(設計容量55080mWh)の標準バッテリーで約9.5時間(MobileMark 2007による)動くという。
条件を変えながらバッテリーユーティリティー「YbInfo」を使って、バッテリー残容量・放電速度を測定・試算したところ、次のような結果となった。表の上ほど負荷が高く、下に行くほど負荷が低いとお考えいただきたい。
バックライト輝度 | 無線LAN | CPU負荷・処理 | 駆動時間 |
---|---|---|---|
最明 | オン | 負荷 100% | 3.9時間 |
中 | オン | スピーカーでmp3再生 | 6.4時間 |
中 | オフ | 720p mp4ビデオ再生 | 4.7時間 |
最暗 | オン | 負荷 50%前後 | 5.0~5.9時間 |
最暗 | オン | 負荷 10%前後 | 10.3時間 |
テキスト入力やウェブアクセスなどで使うなら8時間以上、HD品質の映像を再生しても3~4時間程度なら余裕で使える。電力事情に不安を覚える今のような状況なら、夜間に充電して日中はバッテリー駆動とすることで、節電にも役立つわけだ。
モバイルだからといって妥協しないAV性能
dm1-3000の強みは、やはりFusion APU搭載にある。コンパクトさを追求するモバイルノートでは犠牲になることが多かったAV機能だが、dm1-3000では存分に楽しめる。
例えばYouTubeで720pのHD映像を再生しても、CPU負荷は30%前後と低く抑えられて、コマ落ちなどもなく滑らかに表示できた。フルHD(1920×1080ドット)のmp4動画を表示してもCPU負荷は50%前後であり、この解像度で外部ディスプレーへの出力も可能だ(初代dm1では最大1600×1200ドットだった)。
特に記しておきたいのがオーディオ機能だ。dm1-3000は米IDT「High Definition Audio」チップを搭載しており、「IDT HD sound」機能が利用できる。米ドルビーの「DOLBY ADVANCED AUDIO」にも対応しており、音楽/映画/ゲームのオーディオ再生でサラウンド再生機能を実現する。初めてdm1-3000の音を聴いたときには、思わず耳を疑った。すさまじい臨場感があり、ヘッドホンを装着しているのを忘れて後ろを振り返ってしまったほどだ。
本体内蔵のステレオスピーカーにも注目したい。ALTEC Lancingのロゴが刻まれているのは伊達ではない。さすがに重低音は出ないものの、モバイルノート内蔵の小口径スピーカーから発せられるとは思えない音量・音質だ。上記IDT HD soundのサラウンドを効かせると、dm1-3000がそこにあることを感じさせないぐらい、再生音に広がりが生まれる。
最後にユニークな点をひとつ。一般的なノートパソコンの底面はメモリースロットやHDDなどにアクセスできるように、ネジ止めされたカバーで覆われているものだ。ところがdm1-3000の底面カバーは、つるりとした1枚の樹脂板となっている。バッテリーをはずすと指をひっかける場所が現われるので、そこからゆっくりと引き剥がすと、カバーが丸ごと外せるのだ。強度のある本体シャーシに柔らかな樹脂カバーをかぶせるここで、衝撃を和らげる役割を持たせているのだろう。なかなか珍しい作りだ。
今回試用したdm1-3000の量販店向けモデルは、予想実売価格が6万円前後。これだけしっかりとした、活用しがいのあるモバイルノートがこの値段である。今、モバイルノートを選ぶのなら有力候補となるのは間違いない。
なお、同社の直販サイト「HP Directplus」では、メモリーを4GBから2GBに減らす一方で、ストレージを128GB SSDに変更した「パフォーマンスSSDモデル」が7万9800円で販売されている。日常的に持ち歩くモバイルノートとしてなら、耐衝撃性のあるSSDモデルがいいだろう。
Pavilion dm1-3000 Notebook PC の主な仕様 | |
---|---|
CPU | AMD E-350(1.6GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵(Radeon HD 6310) |
ディスプレー | 11.6型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0 |
サイズ | 幅292×奥行き216×高さ22~32mm |
質量 | 約1.57kg |
バッテリー駆動時間 | 約9.5時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit版 |
予想実売価格 | 6万円前後(3月25日発売予定) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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