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週刊 PC&周辺機器レビュー 第64回

東芝流一体型PC dynabook Qosmio DXの実力をチェック

2010年07月23日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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ハードの中身はQosmio V65とほぼ同様

 Qosmio DXのハードウェア面を見ていこう。ディスプレーは21.5型ワイドサイズで、フルHD解像度の液晶ディスプレーを採用。CPUなどの主要コンポーネントには、ノートパソコン用のパーツを多用している。CPUはノート用のCore i5-450M(2.40GHz)で、チップセットも同じくIntel HM55 Express。グラフィックス機能はCPU内蔵機能を使用している。

 地上デジタル放送チューナーを1基内蔵し、光学ドライブには記録型BDドライブを搭載。録画テレビ番組のBD書き出しももちろん可能だ。HDDは1TBを内蔵する。

 スペック面を見ていくと、Qosmio DXは同じQosmioシリーズの「dynabook Qosmio V65」とほぼ同じ仕様を備えているのがわかる。また、同業他社のディスプレー一体型デスクトップとも、仕様は似通っている。似た製品の多いジャンルの中で、Qosmio DXを際立たせる差別化要因が、画像処理専用プロセッサー「SpursEngine」の搭載である。

Qosmio DXと似たようなスペックを備える「dynabook Qosmio V」

Qosmio DXと似たようなスペックを備えるAVノートパソコン「dynabook Qosmio V」

 SpursEngineについては、ASCII.jpでもたびたび記事にしているが(関連記事)、プレイステーション3のCPUが備えるのと同じ「Streaming Processor」(SP)を4基備えた、画像処理用のプロセッサーである。これを搭載するQosmioシリーズでは、テレビ番組の圧縮録画やDVDのアップコンバート表示(超解像技術)などを、CPUの力を使わずにリアルタイムで可能とする。また、録画中の番組から映っている人の顔を識別して、メタデータとして記録する「顔deナビ」といった機能も、SpursEngineにより実現されている。

 同じQosmioのQosmio V65もSpursEngineを搭載している。つまり、Qosmio DXとQosmio V65は、デスクトップとノートという違いを持った兄弟とも言えそうだ。一方でQosmio DX独自の機能としては、内蔵ディスプレーを単体のモニターとして使える機能を備える。HDMI入力端子とD4映像入力端子を本体背面に備えており、パソコン部分が起動していなくても、入力端子につないだゲーム機やAV機器を表示できる。

本体背面

本体背面。写真右側にはUSB×4とLAN端子、テレビアンテナ入力などが、左には本機をディスプレーとして使う場合のHMI入力やD入力を用意


テレビ機能もQosmio Vと同じ
見どころチェックに意外と便利な「顔deナビ」

Qosmio AV Center

テレビ視聴・録画ソフト「Qosmio AV Center」

Qosmio DX付属のリモコン

Qosmio DX付属のリモコン。Qosmioシリーズと共通のもの

 Qosmio DXを評価するには、テレビ機能とSpursEngineをどう評価するかが重要になる。まずテレビ機能の方だが、前述のとおり地上デジタル放送チューナーを1基内蔵し、付属ソフト「Qosmio AV Center」で視聴や録画を行なう。これらの要素もQosmio V65と同じだ。

 Qosmio AV Centerは、Qosmioシリーズの定番であるテレビ視聴・録画ソフトである。番組の視聴や録画、予約録画といった一般的な機能はすべて備えている。また番組をAVCHD形式で圧縮録画する機能も、SpursEngineを使って実現している。圧縮率は最大8倍(SD画質2.0MbpsのEPモード時)になるという。

 いくつかの番組を録画して、SpursEngineの効果を試してみた。まず、SpursEngineによる圧縮録画だが、XP/SP/LP/EPの4種類があり、EPはSD解像度、それ以外は地デジの解像度のまま、AVCHD形式で録画される。LPモードのビットレートは約5.5Mbpsと、地デジ本来の3分の1程度まで圧縮される。

 見比べてみたが、特に画質を要求しない番組、例えばドラマやニュース番組、バラエティーなら、常時LPモードで録画しても支障はないようだ。圧縮ノイズが目立ちやすいアニメやスポーツ中継は、ビットレート約10MbpsのXPモードを使うのが適当に思える。

顔deナビ

SpursEngineを駆使した動画内顔認識機能「顔deナビ」

 SpursEngineを使う「顔deナビ」機能は、番組から見たいシーンを探すのに役立つ。検索した顔が画面上に、サムネイルが横並んだタイムラインが画面下に表示される。あくまで顔に注目した機能なので、CMカット用途には適さない面もあるが、見どころを選んで頭出しするのに使える機能だ。

SpursEngineの動作状況を示すガジェット

顔deナビと圧縮録画を同時に使うと、SpursEngineの動作状況を示すガジェットはフル稼働を示す。ちなみに圧縮録画だけなら、SPは1基しか使わない

 一方で、Qosmio DXのテレビ機能には物足りない面もある。まずチューナーが地デジのみの1基であること。ゆえに録画中に裏番組の視聴や録画はできない。ダブルチューナーによる2番組同時録画は、今や中位機以上のBDレコーダーは当たり前のようにできるし、デスクトップパソコンでも珍しい機能ではない。例えば、以前にレビューを掲載したソニーの一体型デスクトップ「VAIO J」では、3波ダブルチューナーを搭載し、2番組同時のAVC圧縮録画も可能だ。

 「安価にテレビ機能+SpursEngineを提供する」というQosmio Vシリーズの仕様を踏襲したゆえに、デスクトップのテレビパソコンとしてはテレビ機能が物足りなくなってしまったのではないかと思う。また、VAIO Jが搭載しているお勧め番組の自動録画機能「おまかせ・まる録」のような機能もない。

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