WR8700Nのパフォーマンス
ここまでWR8700Nの設定や特徴的な機能について紹介してきたが、最後に無線ブロードバンドルーターとしての性能(パフォーマンス)にふれておこう。
WR8700Nの製品を紹介しているページでは、実効スループットを計測し、その測定環境や測定値を公開している。ウェブページに公表されている数値は、無線の実効スループットが最大約186Mbps、有線の実効スループットがローカルルータで動作した場合約919Mbps、PPPoEで約911Mbpsということだ。この数値は昨年発売されたWR8300Nより高い値が示されており、さらなる性能の向上が図られている。
速度の計測を実施したポイントは無線LANの受信レベルを測定したポイントと同じ2ヵ所で行った。最初にWL300NE-AGを計測ポイント移動させて計測。その後にWL300NCを装着したパソコンを用いて2ヵ所の計測ポイントで測定した。
計測は、300MBのFTP転送を10回行い、そこから最大と最小を除いて平均を出した。計測に使用したファイルサイズは同社の実測で使用していたものと同じサイズを意識したものだが、そのほかデータの収集回数など特段の理由はない。
恥ずかしながらだいぶ年数の経っているPCを使った計測環境なので、同社が計測に使用したコンピュータより機器のパフォーマンスが劣る。その辺は差し引いて計測結果をご覧頂きたい。
以下、実測した結果である。
測定ポイント1では、ダウンロード(Get)では100Mbpsを超えている。アップロードもだいたい90Mbps前後で、100BASE-T相当の結果となっている。電波の受信強度が同程度であり、速度の違いはそれほど大きくはないといってよいだろう。
続いて計測ポイント2では、11n(2.4GHz)はPut(送信)、Get(受信)とも約57Mbps、11n(5GHz)はPutが約63Mbps、Getが約73Mbpsと、5GHz帯の成績がいい。受信強度のレベルを計測した際は2.4GHz帯の方が良かったが、計測結果は逆転する結果となった。
やはり、2.4GHz帯は周辺の影響もあったのだろうと思う。その点5GHz帯は受信強度を計測したときは低かったが、ほかの干渉が少ないので60Mbpsを超える速度が出せたものと思う。
一つ意外だったのはWL300NE-AGよりもWL300NCのほうが速かった点である。WL300NE-AGを経由した場合、WL300NE-AGとPCまでの伝送も発生する。一方WL300NCはパソコンに直付けなのでケーブルの伝送ロスがない。そのあたりが原因なのではないかと考えている。
いずれにしろ、ネット経由の映像配信サービスでは、「アクトビラ ビデオ」で実効速度6Mbps、「アクトビラビデオ・フル」で実行速度12Mbps、「NHKオンデマンド」であれば3Mbpsだ。DTCP-IP対応のHDDレコーダーなどを使って録画した番組を、ほかの機器で見ることを想定した場合でも、最大でBSデジタルの24Mbpsである。
これらを考えると、有線LANではなく無線LANで接続してもストレスなくビデオや写真などのコンテンツを楽しめることになる。
返却するのが惜しい、筆者垂涎の性能
今回は、WP8700NイーサネットコンバータセットということでWL300NE-AGとの接続結果を掲載しているが、他社のイーサネットコンバータを使って同じような結果が出るとは限らない。
筆者の自宅ではAterm WR8500Nのほかに、某有名周辺機器メーカーのイーサネットコンバータを組み合わせて使っている。それはAtermのイーサネットコンバータがなかったゆえの選択であった。
標準技術に準拠しているからといって、ハードウェアやドライバーを含むソフトウェアまで、どのメーカも同じというわけではない。
イーサネットコンバータは子機という立場上、最もパフォーマンスが良くなるよう設計されているのは、やはり同一メーカの製品で、かつ同時期に設計されたものだと思う。
その意味では、今後標準技術に準拠したイーサネットコンバータが多く登場し、価格も安いものが登場するかも知れないが、親機との関係でベストパフォーマンスを期待するのであれば、迷わず同じメーカの同時に開発された製品を購入すべきである。
だから正直な話、この記事を書いたら、機材を編集部に返却しないといけないのが惜しいのである。
今回WR8700Nは、親機単体、親機とUSBスティックセット、そして今回レポートしたイーサネットコンバータセットとユーザの用途に合わせて3タイプを用意している。
親機単体でだけでも無線LANの規格全部入りで魅力的な製品に仕上がっている。さらにイーサネットコンバータのセットで販売される。USBのセットとイーサネットコンバータのセットが店頭に並ぶにはまだ日数がある。心は決まっているが家族の理解を得るためには、しばらく悩むふりをしなければならなそうだ。
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