液晶ディスプレーのサイズは、10.1型ワイドと変わらない。画面周囲の見た目はベゼル幅がわずかに大きくなったと感じる程度だ。ただし表示解像度は、M/D10の1024×576ドットやM/D15の1024×600ドットから、1366×768ドットへと大幅に広がった。従来と同じくLEDバックライトの「スーパーファイン液晶」をパネルに採用し、発色は申し分ない。
高解像度で小サイズな画面となっているため、小さな文字の視認性が気になるところだが、実際に使ってみるとそれほど見にくくはなかった。なお、文字やアイコンのサイズは、プレインストールされている「ゆったり設定2」を使うと、ワンクリックで変更できる。
Atom N450搭載
バッテリ使用時間の大幅延長!
富士通のネットブックの従来モデルには、2009年春の「LOOX M/D10」と、2009年夏の「LOOX M/D15」の2製品がある。改めて、今回のM/G30で変わった点を整理してみよう。
LOOX M/D10 | LOOX M/D15 | LOOX M/G30 | |
---|---|---|---|
CPU | Atom N270 | Atom N280 | Atom N450 |
CPUクロック | 1.60GHz | 1.66GHz | |
2次キャッシュ | 512KB | ||
FSBクロック | 533MHz | 667MHz | |
チップセット | 945GSE | NM10 | |
GPU | GMA950 | GMA3150 | |
CPU | Windows XP Home Edition | Windows 7 Starter |
まず注目すべきは、CPUおよびチップセットの変更だ。M/D10からM/D15の変化はマイナーチェンジに留まっていたが、M/G30ではプラットフォームから変わった。しかし、CPUのクロック周波数や2次キャッシュメモリーが増強されたわけではなく、処理速度においてはほとんど違いはないと考えられる。実際、OSがWindows XPからWindows 7 Starterになっているため、体感的には遅くなっているようにも感じられた。
しかし、Atom N450を採用することで、劇的な進化をとげた項目がある。下記の表を見ていただければわかるように、バッテリでの動作時間が、ほぼ倍増しているのだ。
LOOX M/D10 | LOOX M/D15 | LOOX M/G30 | |
---|---|---|---|
メモリー 標準/最大 | 1GB/2GB | ||
表示解像度 | 1024×576 | 1024×600 | 1380×768 |
HDD | 160GB | 250GB | |
最大バッテリー駆動時間 | 約2.6時間 | 約2.7時間 | 約5.0時間 |
「バッテリパックL」使用時 | 約5.3時間 | 約5.6時間 | 約10時間 |
理由はいくつか考えられるが、まず従来のAtom N270/280+945GSEの場合は、CPUとチップセットで3チップ構成だったのが、Atom N450+NM10 Expressでは2チップ構成に減ったことにより、CPUおよびチップセットの消費電力と発熱が抑えられたことに関係しているだろう。もうひとつの理由は単純に、バッテリーパックの容量増加(内蔵バッテリパックの場合、2400mAh→2900mAh)であろう。
従来のLOOX Mでは、電源投入と同時に空冷ファンが常時回転し、気になる風切音を出し続けていた。しかし、M/G30は空冷ファンを内蔵するものの、ほとんど回らないのである。CPUを100%占有するような処理を数分続けて、ようやくゆっくりと静かに回る程度だった。発熱→強制空冷による電力消費という負のスパイラルから完全に脱したのだ。
3セルの標準バッテリーで約5時間使えるのであれば(実際にはカタログ値の半分と見積もっても)、運用範囲がかなり広がったことになる。
使い勝手も向上 痒いところに手が届く
使い勝手についても考えられている。M/G30はM/D10と同じく、ノートパソコンでは標準的なキーボードを採用しているのだが、本体横幅の拡大を受けて、キーボードの幅も拡大している。キーピッチは約17.5mmと、従来モデルから0.3mm大きくなった。キーストロークも1.5mm→1.9mmと改善されている。きわめてわずかな差ではあるが、ストロークの改善もあり、打鍵しやすくなったと感じた。
タッチパッドの右横に装備された「スクロールパッド」も面白い試みである。丸くくぼんだ部分で、指を時計/反時計回転に軽く滑らせると、その動きが上下、あるいは左右スクロールとして認識されるのだ。上下/左右の切り替えをデバイスドライバーのプロパティから設定するのは不便だが、ソフトウェア処理なのでいずれ改善されるかもしれない。
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