CULVノートでも快適な地デジ・フルセグ視聴
付属のTV視聴ソフトは、視聴および録画に使う「mAgicTV Digital」と、番組ガイド表示ならびに再生で使う「mAgicガイド Digital」、さらにタスクトレイに常駐して予約録画を処理する「mAgicマネージャ Digital」から構成される。それぞれ、ユニット本体のセットアップ(初期化)やチャンネルサーチを実施した後に使えるようになる。
ネットブック用の動作モードも用意されており、その際は表示処理速度を優先するために、番組情報/番組表の取得や、録画予約での番組追従、視聴・録画の自動終了、データ放送・字幕表示が使えなくなる。
今回は、通常のモードのままCULVノート(LaVie M LM350/VG6、CPUはCeleron SU2300 1.2GHz)で使ってみたが、特に支障なく地デジを楽しめた。CPUへの負荷をタスクマネージャーで見たところ、フルセグ視聴時のCPU負荷は40%前後、ワンセグ視聴時は20~30%であった。もともとUSBインターフェースが高負荷のパソコンのようで、このCPU負荷は、録画・再生時にもほとんど変わらない。チャンネル変更に3~4秒かかることもあったが、デジタル放送の場合、目をつぶるしかないのだろう。
なお、フルセグでの受信・視聴中に電波強度が規定値(付属ソフトで確認すると20dB前後)を下回ると、自動的にワンセグ表示に切り替わる(逆にワンセグ→フルセグ切り替えは手動のみ)。このときに、Windows 7/VistaのWindows Aero(透過効果)を使っていると、mAgicTV Digitalの起動によって非透過の「Aeroベーシック」に切り替わり、電波強度の関係からワンセグとなって、再びUIが透過ありに切り替わる、という状況が起こる。いささか見苦しいので、電波強度が不安定な環境で使う場合は、最初から透過なしのテーマに設定しておくといい。
ワンセグモードでは視聴のみが可能で、データ放送表示や録画はフルセグ受信時に行なえる。録画形式はフルセグ情報がMPEG-2(MP@HL)、ワンセグ情報がH.264となり、音声はMPEG2-AACで記録する。録画したワンセグ情報のみを、PSPで再生できるデータに変換して持ち出す機能もある。なお、録画したコンテンツはMPV/HZ3を装着した状態でなければ再生できない。また、圧縮率などは変更できず、1080iのHD放送の場合、1時間分の録画におよそ1GBを消費する。
なお、パソコンとはUSB接続なので抜き差しは可能であるものの、初回インストール/セットアップ時につないだパソコン側USB端子を変更すると、チューナーユニットのリセットに失敗して視聴・再生できないこともあった(なお、試用したソフトは製品前の評価版)。
ちなみに、Windows 7のWindows Media Centerからの利用も試みたのだが、MPV/HZ3を地デジチューナーとして認識するものの、miniB-CASカードを読み取ることができずに視聴できなかった。Media Centerで使いたければ、GV-MC7/HZ3が必要なようだ。
★
本製品は、手軽にフルセグの地デジを楽しもうという場合に向いている。パソコン画面でのテレビ視聴という点では、最初からテレビパソコンとしてチューナーを組み込んで最適化し、高画質化エンジンや高品位液晶パネルなどを搭載した製品にはかなわない。
しかし、キーワード指定による自動録画予約機能がありそこそこ使いやすいこと、小型チューナーにも関わらず美しいフルセグ映像表示を実現していることなど、高く評価できる点もある。
また、GPUやチップセット、CPUなどの組み合わせによっては動作しないこともあるため、事前に同社サイトの「地デジ相性チェッカー」で確認しておいたほうがよいだろう。その点でMPV/HZ3は、千差万別の自作パソコンよりも、CULVノートなどのライトモバイル環境で使うのに最適だと言える。MPV/HZ3本体のコンパクトさや、USBバスパワーで動作する点も、その方向性を後押しする。
完全地デジ化まであと600日程度。エコポイントの継続もあり、ここ1年が地デジ普及のピークとなるであろう。MPV/HZ3+モバイルノートを簡易な地デジ受信テスト機として、地デジアンテナ設置の最適化や各居室での受信状況の確認などに使うのもおもしろい。
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筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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