日本HP「HP Photosmart Plus B209A」
設置:設置面積はやや大き目
今回扱った3台を並べてみるとよくわかるのだが、本体デザインには少々クセがある。本体部分そのものは小さいのだが、液晶コントローラーや給排紙トレイが、はみ出たような形状のため、設置面積もやや広くなってしまう。本体サイズは幅452×奥行き407×高さ206mmと3機種の中で最大だが、重量は約7.2kgと最も軽い。
前/側面から見るとよくわかるが、特に高さがあるのが目立つ。飛び出ている給紙トレイの下段部分は、本体から取り外すことができない。トレイの上部にはカバーが付いていて、レバー状の板を引き出すことで排紙トレイとして利用できる。
この給紙トレイは、取り外しの有無を除けばエプソンのEP-802Aの給紙トレイと似た2段構成となっている。上側がL判〜2L判をセットする場所で、使用時には内部に引き込まれる。下側はL判からA4用紙が使える。
初出時、対応用紙が誤っておりました。訂正してお詫び申し上げます(2009年12月1日)
外観では、電源部分も変わっている。ほかの2機種が、いずれもコンセントから本体に直接ケーブルをつなぐのに対して、B209AではACアダプターを利用する。
電源状況の異なる地域でもACアダプターを交換することで対応できるようにしたヒューレット・パッカードらしい設計だが、これは内蔵してもよかったように思う。また、ほかの2機種と違って、CD/DVDなどのプリンタブル光メディアへの印刷には対応していない。
全体的に光沢のある黒色のプラスチックが外装として使われているため、手で触れたりすると皮脂汚れが目立ってしまう。電源ボタンは前面やや右に、コントロール部分は前面左にある。
さて、このコントロール部分だが、2.4インチの液晶パネルを覆うようにして、タッチパネルが左右に広がっている。電源ボタンを除いてほかにボタン類はなく、画面に軽く触れることですべての操作を行なうわけだ。
指で触れる際、誤ってとなりの項目に触らないように、画面のアイコン表示などは大きめになっているのだが、その半面、1画面に表示できる情報量が少ない。そのため、メニュー構造が少し複雑で、目的の操作を実行するのに何度も画面に触れなければならないことが多い。
使用するインクは、CMYの基本3色と、顔料の黒という4色だ。スキャナーユニットを持ち上げると、キヤノンのMP640のように印刷ヘッド部分が中央に出てきて、インクが交換できるようになる。
インクタンクにあるチップのおかげで、インク噴出量を画面やパソコン側から比較的正確に確かめられるが、タンクは色と同じ色の不透明なプラスチック製なので、目視ではインク残量が確かめられない。
と、ここまであまりいい話を取り上げてこなかったが、B209Aでは何より価格に注目してほしい。同社直販サイトでの価格は1万5960円。ネットにおける実勢価格の最安価は、およそ1万3600円である(11月17日現在)。
A4イメージスキャナーと、無線LAN対応のインクジェットカラープリンター、さらにメモリカードアダプターまである、カラーコピーもできる複合機として、最も手に入れやすい製品といえるだろう。
操作:カレンダーや迷路などをプリントできる
B209Aは無線LANには対応しているが、有線LANの接続機能は持っていない。無線LANの自動接続もWPS(WiFi Protected SetUp)が使えるだけだ。対応するアクセスポイントを持っていない場合は、一度、B209AとパソコンをUSBケーブルで接続して、パソコン上でアクセスポイントや暗号キーなどの情報を入力。その結果をB209Aに書き戻さなければつなぐことができない。
しかし面倒なのは最初だけで、いったん無線LANにつないでしまえば、通常のネットワークプリンターとして複数のパソコンから同時に使えるし、ネットワーク経由でインク残量なども確かめられる。
初出時、「ウェブブラウザー越しにプリンターの状況を確認できるようなウェブサーバー機能を搭載していない」と記載しておりましたが、搭載されておりました。訂正して、お詫び申し上げます(2009年12月1日)
B209Aで興味深いのは、本体のコントロールパネル操作だけで、いくつかのコンテンツを印刷できる点だろう。カレンダーやノート用紙、グラフ用紙(方眼紙)に加えて、数字パズルや迷路などの各種ゲームまで用意している。メモリーカードからの写真印刷でも、トリミングやフレームの追加が可能だ。
同梱のインストールディスクをパソコンに入れてセットアップしている際、インクタンクのセット方法を動画で案内したり、USBケーブルの接続などをグラフィカルに表示して、ユーザーが理解しやすいようにまとめているのは高く評価できる。
画質・速度:満足のいく写真品質、丁寧な解説で導入が楽
印刷解像度は最高4800dpiと、キヤノンのMP640の約半分だ。イメージスキャナー部の読み取り解像度は最高2400dpiと、こちらもMP640の約3分の1、エプソンのEP-802Aの約半分である。カタログスペックを見る限りでは、それほど高精細印刷ができるとは思えない。しかし、実際にさまざまな写真を印刷してみたところ、それほど酷くは感じなかった。
というよりも、純正の高品位写真用紙に出力すればL判などは十分に実用になる写真である。試しに他社プリンター向けのA4サイズの写真用紙(サーマルインクジェット用)に印刷してみたが、ぱっと見ただけでは3色以上の多色インクでの出力との大きな違いは分からない。また、図やグラフなどの出力ではグラデーションも滑らかに表現できているし、普通紙などに文字を印刷する場合は顔料の黒インクが引き締まった表情を与えていた。
印刷速度は、アドバンストフォト用紙にメモリーカードから印刷してみたところ、20枚を印刷するのにかかった時間は18分52秒だった。ちなみにB209Aは印刷モードは特に選ばず、用紙を選択すると印刷品質が決まる。
ほかの2機種と比べて、それほど突出しているわけでないものの早さ的には1番だ。ただし、印刷時の騒音、特に紙送り時の機械音は、結構気になった。
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