IOポートとIRQ
CPUと拡張カードのLSIの間にも、無線に似た連絡手段がある。これがIRQと呼ばれるもので、日本語で言うと「割り込み」だ。拡張カードのLSIはデータの準備などが終わると、IRQという無線を使いCPUにそれを知らせ、CPUはあらかじめ用意されたデータを読み取り、周辺LSIに読み終わった旨を連絡する。無線機のチャンネルは数に限りがあるのと同じで、IRQも数に限りがある。このため拡張ボードで同じIRQを使ってしまうと、CPUと周辺LSI間の通信が混乱しパソコンの動作が不安定になる。そこで拡張カードが利用するIRQもいくつか用意され変更できるようになっている(ただし最近のパソコンは、同じIRQを複数のカードで利用するIRQシェアリングという機能を持っていて、以前ほど競合しないように進化した)。
拡張カードとCPUがスムースに連携を取り合うには、それぞれが異なる接岸するIOポート番号と、それぞれが異なるIRQという通信手段が必要になるのだ。
これらの調停はパソコンの起動時に行われ、調停結果がドドド! と一覧となって表示されるのを目にしたことがあるだろう。
パラレルポートやシリアルポート、オンボードの音源などは、拡張スロットに刺さってはいないものの、マザーボード上のIOポートに直接接続されており、IOポートの番号、通称「IOポートアドレス」や「IOアドレス」をいくつか変更できるようになっている。
これを設定するのがBIOS画面だ。パソコンの電源を入れた直後に[F1]や[Delete]キーを押すと表示される次の画面だ。
機種により内容は異なるが、パラレルポートのIOポートアドレスを知る(変更する)には、たいてい「Peripherals」(周辺機器)と書かれたメニューを選択する。
ここには、マザーボードに搭載されているさまざまな機能やLSIをEnabled(有効)にしたり、Disabled(無効)にしたりするメニューが並ぶ。その中には、0~9の数字とA~Fのアルファベットで示された番号らしきものが見当たるだろう。この番号こそが、そのLSIが使うIOポートアドレスだ。
メニューをよく見ていけば、「Onboard Parallel Port」という項目が見つかるはずだ。通常は「378/IRQ7」が選ばれている。
場合によっては「278/IRQ5」や「3BC/IRQ7」が選ばれている場合もある。
製作したリレーユニットの制御に必要なのはIOポートアドレスなので、378か278か3BCなのかを必ずメモしておこう。
注意して欲しいのは「Disabled」になっているとき。そもそもパラレルポートコネクタがないノートパソコンなどではDisabledになっているが、機種によっては工場出荷時にDisabledになっている可能性もある。これはつまり、パラレルポートの接岸するIOポート番号も、CPUと連絡するIRQも持っていないということで、事実上パラレルポートが死んだ状態なのだ。
このときは、サブメニューから「378/IRQ7」を選んで、パラレルポートを生き返らせて欲しい。
またパラレルポートは、USBプリンタが主流になる以前にいろいろと進化した。そのため「Parallel Port Mode」というメニューも存在する。モードには「SPP」「EPP」「ECP」の3タイプがある(表記が違う場合もある)。製作したリレーユニットは、いずれのモードでも動作するが、もっともシンプルで古典的な「SPP」モードを選んでおくのがベストだ。
パラレルポートのIOポートアドレスを控え、モードも確認したら、BIOSのトップメニューに戻り「Save & Exit Setup」で設定を保存し再起動する。
稀だとは思うが「Parallel Port Mode」が「Disabled」になっていたのを「378/IRQ7」に設定しなおしたら、パソコンの動作が不安定になる場合も考えられる。このときは、リレーユニットの制御はあきらめるか、パソコンに精通した人に見てもらうといい。パソコン内部の何かとIOポートアドレスやIRQが競合してしまってるハズだ。
(次ページへ続く)
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