旧iPhone 3Gでも使える新機能
β版では明かされていなかったiPhone OS 3.0の新機能の中で、iPhone 3Gでも使えるものは意外に多い。中でも注目は「Spotlight検索」「Safari」「インターネットテザリング」の3つだ。
Spotlight検索
最も重要なのは、iPhoneの情報端末としての操作性はもちろん、その価値にまで影響を与える可能性のある「Spotlight検索」だろう。
今のところ検索対象は、連絡先、メール、カレンダー、メモ、iPodのコンテンツなど、アップルの純正アプリが扱うデータだけだが、サードパーティーのアプリがこの機能に対応すれば、iPhoneに情報を記録して常に持ち運ぶことの価値が飛躍的に高まる。
Safari
基調講演ではさらっと触れられていただけで、見落とされがちなSafariの強化だが、1)HTML 5.0に対応、2)Java Scriptの実行速度が3倍程度に高速化されたというのに加えて、3)HTTPストリーミング機能を備えたことを忘れてはならない。
HTTPストリーミングは、MacでもSnow Leopardの「QuickTime X」で追加された最新鋭の機能だ。一般的なHTTPプロトコルを使って動画のストリーミング再生を実現する。
これまでiPhoneでネット上の動画を再生することのできるのは、ムービーファイルをダウンロードしながら再生するYouTubeのようなタイプのものに限られていた。
HTTPストリーミングでは、少ないデータバッファで、ほぼリアルタイムの動画再生を実現する。これにより、映像ソースとして、あらかじめ録画されたものだけでなく、ライブなニュースなどの供給も可能となる。この分野でのiPhoneの用途を大きく拡張する可能性を持った新機能であることは間違いない。
インターネットテザリング
注目機能の中で、残念ながら今のところ日本では利用できないのが「インターネットテザリング」だ。
要するにiPhoneをモデムとして使う機能で、MacまたはPCとiPhoneをUSBケーブルで接続し、携帯ネットワークを利用してインターネットにつなげるようになる。インターネットテザリングはアップルの日本語サイトでも紹介されているが、iPhoneの日本での唯一のキャリアであるソフトバンクモバイルは今のところ対応しないと発表している。
これは単に残念なだけでなく、基調講演で同時に発表された新しいMacBook Proシリーズの動向にも影響を与えかねない──というのは考え過ぎだろうか。
というのも、17インチモデルを除く新MacBook Proシリーズは、従来のExpressCard/34スロットに代わってSDカードスロットを備えた。ExpressCardスロットは、これまで携帯ネットワークを利用した通信カードに利用されることが多かったが、これを省くことに踏み切った裏には、iPhoneのテザリングを実現したという背景があったからではないだろうか。
今後、Macユーザーが携帯ネットワーク経由でインターネット接続するには、iPhoneを使ってもらえばいいという判断だ。その構図が、少なくとも現在の日本では崩れてしまう。ちなみに「Tethering」という単語は、平たく言えば「つなぐ」という意味だが、文脈によっては「拘束する」という意味にもなる。
このほか、すでに本サイトでも紹介した「iPhoneを探す」(Find My iPhone)や「遠隔消去」(Remote Wipe)といった機能も、有料の「Mobile Me」が必要になるとはいえ、文句なく「画期的」と言える新機能だろう(関連記事)。
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