米NVIDIAは3日、ノートパソコン向けのGPU 3製品と、デスクトップ向けGPU 1製品を一斉に発表した。特にノートパソコン向けGPU 3製品は、ハイエンドに位置する高性能GPUに位置づけられている。
ノート初のGTXシリーズ登場
発表されたノートパソコン向けGPUのラインアップは3機種。ハイエンド(エンスージアスト)級の「GeForce GTX 280M」「GeForce GTX 260M」と、1段下のハイパフォーマンス級に位置する「GeForce GTS 160M」である。
名称から誤解しやすいが、NVIDIAの資料によればGTX/GTSともに、内部のコアはコード名「G92」と呼ばれたデスクトップ向けGPU「GeForce 9800 GTX」と同世代のコアを搭載している。名称はほぼ同じだが、デスクトップ向けのGeForce GTX 2xxシリーズは汎用演算(GPGPU)能力を強化したコード名「GT200」のコアを採用しているので、同名ながら異なる世代のコアとなる。10億個を超えるトランジスターを集積し、消費電力が200W近いデスクトップ向けと同じGPUを、ノートパソコンに搭載するのはさすがに非現実的だったのだろうか。
55nmプロセスで製造されるGeForce GTX 280Mは、従来のノート向けGPUの最上位製品だったGeForce 9800M GTXと比べて、50%以上高速であるという。また、マルチGPU技術「SLI」にも対応している。GeForce GTX 280Mの場合、シェーダープロセッサー数は128基。コアクロックは585MHzでシェーダークロックは1463MHz。メモリーバンド幅は256bit幅、メモリークロックは950MHz。GeForce 9800M GTXが112基のコアクロック500MHzだったので、シェーダー数は微増だが、プロセスの微細化によるクロックの向上で性能を高めたようだ。メモリーにはGDDR3メモリーを使用。消費電力当たりの性能では、GeForce GTX 280MはGeForce 9800M GTXより20%程度向上しているという。
競合となる米AMDの「Mobility Radeon HD 4870」および、マルチGPU版「同4870 X2」に対して、GeForce GTX 280Mのシングル、SLI構成のいずれも、30%程度上回る性能を発揮するとしている。またGeForce GTX 260Mは競合のMobility Radeon HD 4850に対して、20%程度上回るという。
一方のGeForce GTS 160Mは、モバイルユースも可能な12~14型級のディスプレーを備えるノートパソコンを対象にしたハイパフォーマンスGPUに位置づけられている。55nmプロセスで製造され、シェーダープロセッサー数は64基。コアクロックは600MHzでシェーダークロックは1500MHzと、GTXより高クロック動作となっている。メモリーバンド幅は256bit幅で、メモリークロックは800MHz。
GeForce GTS 160Mは、NVIDIAが競合と位置づける「Mobility Radeon HD 4670」に対して、50%程度上回る性能を発揮するとしている。また消費電力当たりの性能では、GeForce 9700M GTから40%ほど向上している。
GTX 2xxMシリーズは高性能ではある。ただし、前世代のGeForce 9800M GTX搭載ノートが軒並み20万円台後半~30万円台前半、やや下位のGeForce 9800M GTS搭載ノートが20万円台前半の高価な製品に限られたことを考えると、今回も少数のハイエンドノートのみの採用に止まる可能性は高い。
デスクトップはリネーム版のGTS 250のみ
デスクトップ向けの新GPUは、「GeForce GTS 250」。こちらもGT200コアではなく、GeForce 9800 GTX+と同世代のコアを採用した、言わばリネーム版のGPUである。
性能クラスではパフォーマンス級に位置付けられているが、「メモリー1GBのグラフィックスカードを149ドル(約1万4602円)で実現する」GPUとして、価格性能比をより重視している。コア数はGeForce 9800 GTX+と同じ128基。コアクロックは738MHzでシェーダークロックは1836MHzである。
最新の3Dゲームでは、最高品質で遊ぶには1~2GBのビデオメモリーが必要というものも登場しているだけに、比較的安価で1GBメモリーのグラフィックスカードが手に入るのは、ゲームユーザーには嬉しいところだ。
なおGeForce GTS 250を搭載する製品は、(株)アスクがメモリー1GBと512MBの2製品を発表している。価格はオープンプライスで、1GB版は予想実売価格が2万3800円前後、512MB版は1万9800円前後と想定されている。発売日は3月10日以降の予定