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世界企業パナソニック 90年目の決断 第18回

日本企業は世界でどう戦うべきか?

パナソニックの3つのエコアイディア戦略とは

2009年02月04日 12時00分更新

文● 大河原克行

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全社員の“eco ideas”

胸の「eco ideas」バッチ

胸の「eco ideas」バッチ

 パナソニックの従業員は、胸に「Panasonic」のロゴをあしらった社章とともに、緑色の「eco ideas」の社章を付けている。

 従業員がこのバッチを付けはじめたのは、中村邦夫会長の号令によるものだった。

 当初、環境本部では数100個のバッチを製作したが、中村会長の狙いは、全従業員が、このバッチをつけることにあった。

 すぐさま、幹部向けに数1000個のバッチを追加製作。2007年10月5日の環境経営戦略の発表時には、国内のグループ全従業員がバッチを身につけることができた。発表のわずか2日前のことだ。

 さらに、2007年度中には、全世界のグループ従業員30万人が、eco ideasのバッチをつけることになった。

 2008年10月1日の社名変更にあわせて、三松葉の社章から、Panasonicの社章に変更しても、eco ideasのバッチは、そのまま継続的に採用されている。

 グループ全従業員が、常に環境を意識して事業活動を推進することを肝に銘じるためだ。

 「環境負荷の小さい商品の開発は当然の取り組みであり、それ以上に、商品企画から設計、調達、製造、物流、販売、サービス、リサイクルに至るまでのモノづくりのすべてのプロセス、あるいは従業員個人のすべての活動において、環境への配慮を忘れてはならない」と、大坪社長は呼びかける。

 環境意識が、パナソニックの経営活動の根幹にあること、そして、生活までを含めた従業員個人のすべて活動においても、環境を意識することを徹底しているのだ。

 eco ideasが打ち出された当初は、訴求目的が第一義にあったことは否めない。だが、それは、瞬く間に、PDCAサイクルに落としこまれ、実行力、効力といった点に知恵が集まり始めた。

 これだけ全従業員が、同じ方向に一気にベクトルを集約することができるのは、パナソニックならではのものだといえよう。

 3年間で総量で30万トンのCO2削減は、従業員のベクトルが一致するからこそ実現できるものといえる。

eco ideasのロゴ

ブルーレイDIGAに貼付されているeco ideasのロゴ

 今後の課題は、これを外に対して、いかに訴求していくかだろう。そして、外に向けた継続的な活動も求められる。

 eco ideasに対する認知は高まっているが、これがパナソニックと結びついていないとの指摘もある。競合他社のメッセージとの明確な違いとして認識されるところには至っていないのだ。

 テレビCMや販促物による訴求だけでなく、一部商品では、eco ideasのロゴを貼付するという例も出ているが、さらに、こうした動きも加速していく必要があるだろう。

 社名変更後のパナソニックは、これまで以上に環境に配慮したメーカーであるという認識を定着させることが、パナソニックの環境戦略にとって、ひとつのゴールになるといえよう。

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